なまずのねどこ

ちょっとオタク寄りな旅の記録。B級スポットとか県境とか駅とか魚捕りとか。常にどこかに出かけていたい負け組大学生。

GW屋久島渡航記 1日目(5/2)

ゴールデンウィーク使って屋久に行ってきました!

屋久島といえば、離島にして九州最高峰の宮之浦岳や日本初の世界自然遺産のイメージが強いと思いますが、鹿児島本土からもかなり行きやすい離島のひとつでもあったりします。

 

今回は鹿児島と屋久島を種子島経由で結ぶ「フェリーはいびすかす」を使って行くことに。

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夕方18時に鹿児島(谷山港)を出航、夜間は種子島(西之表港)に停泊したのち翌朝7時にやっと屋久島(宮之浦港)に到着するという距離に対してかなり長い船旅(所要時間13時間)になってきますが、早朝に屋久島に到着できる唯一の交通機関という点は大きいです。

そして何より安い。旅客運賃(2等)で3200円、学割ありだと2560円。長い船旅になるのにも関わらず船内に食堂や娯楽設備が一切ないのは割とキツいですけどね……。

 

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さて、前置きはこれくらいにして…13時間の船旅を終えて屋久島に到着!

この日は一日中雨の予報だったんですが、幸い下船からしばらくは雨に降られることもありませんでした。島の天気は気まぐれっていいますもんね。

 

いつ雨が降り出すか分からないので、この日はカタツムリ探索に徹することに。

港から宮之浦の街の方まで歩いてると、前日雨が降っていたせいか、早速ウスカワマイマイやヤマタニシが塀をよじ登っているのが見られました。

 

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鹿児島本土にもいないことはないですが、大隅諸島に特に多いヘソカドケマイマイ

この子は屋久島だとどこにでもいますね…

 

リュックに加えてタモ網や竿、コマセバケツを持って歩き回るのはかなり体力的にキツいものがあります。なので山の中とかを歩き回る行程に移る前に荷物を早く今日の宿に預けたいところ。

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島内のバス3日間乗り放題のフリーパスを購入し、宮之浦から宿のある安房(あんぼう)の街まで移動します。

 

安房の宿で荷物を降ろし、身軽になったところで本格的に探索開始!

 

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ツバキカドマイマイ

扁平な形をしたオトメマイマイの仲間。トカラ列島屋久島、伊豆諸島など黒潮の影響を受ける地域に不連続的に分布します。

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特徴的な黒い斑紋は殻の色ではなく、軟体部の模様が透けてこんな風に見えています。

屋久島ではリンゴツバキの葉にくっついていたりコンクリ壁を這ってたり。

場所にもよりますが個体数はかなり多いです。

 

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チャイロマイマイ

若い個体。なかなか殻から出てきてくれず、軟体を撮影するのにかなり苦労しました。

茶色のカタツムリなんてかなりの数いるのに、もっとわかりやすいネーミングなかったんですかね……

 

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ヤクジマベッコウ

雨に濡れた広葉樹の幹を這っていました。

ベッコウマイマイの仲間は体を縮こめても殻に収まることができません。殻も薄く退廃的でカタツムリからナメクジへの移行途中みたいな貝です。こういう生き物好き。

 

特筆すべき貝はこれくらいですかね……タネガシママイマイなんかも見たかったんですがそちらは結局叶わず。

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探索環境。いい森です……(恍惚)

 

このあと釣りがしたかったんですが、夕方から雨が本降りになってきて海もしけていたのでこの日の行程はここでお開きにしました。

 

2日目に続きます。

小雨ぱらつく霧島にて

こちらではお久しぶりです、ねんじんです。

丸々一ヶ月更新できてませんでしたね……すみません。まぁ新学期始まってから特に遠くに採集行ったとかでもないのでネタがなかったってのが正直なところですね( ◞‸◟ )

GWになれば少しは更新頻度増えると思います。たぶん。

 

さて、本題。

2週間ほど前(4/6)のお話です。雨の中霧島山地の麓まで陸貝の採集にいってきました。

あの辺りは神社が多く、敷地内に雑木林の類が広範囲で残っているので彼らにとっては絶好の生息環境なんですよね。

 

そうした神社林を何ヶ所か巡ったんですが、主要な収穫だけ画像上げていきますね。

 

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フリイデルマイマイ Aegista (Aegista) friedeliana friedeliana

九州と四国の一部などに分布する殻径10mmちょいのカタツムリ。平べったい螺塔で鱗状の突起物が殻皮に並んでいます。ケマイマイ類の毛やビロウドマイマイ類の繊毛とも異なる独特の質感ですね。

積み重なった枯れ葉の下に潜んでいました。今回得られたのは1個体。これだけでも正直充分満足です。

 

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横から。かなり平べったいです。形だけ見ればコウベマイマイに似た印象。

 

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シーボルトコギセル Phaedusa(Phaedusa) sieboldtii

本州中部以西、四国、九州に広く分布する樹上性の小型キセルガイ。殻は濃い褐色のものが多かったです。この日は雨が降ったりやんだりしており、多数の個体が木の幹を登ってゆく姿が見られました。

 

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ギューリキギセル Phaedusa(Phaedusa) addisoni

九州南部の特産種。殻の形は前種に似ていますが、こちらは軟体部も含めてクリーム色に近い色をしています。成長脈(殻頂を上にしたとき垂直方向に伸びる筋)が粗いのも特徴的。

樹木の表面にも付着していましたが、こちらは木を登るというよりは木のうろに潜んでいたり枯れ葉の隙間にいたりする個体が多いなという印象でした。

 

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これは…?

3~4mmの小さな貝。小さい上に割とよく動き回るので写真を撮るのにかなり難儀しました…現地では朽ちかけの倒木にくっついていました。

シタラ類の仲間かなと思っていたんですが目の位置がおかしいですよね……基眼目の貝の稚貝なのでしょうか?

分かる方がいらしたらご教授お願いしたいです…

 

【追記】Twitterでアズキガイの幼貝ではないかとのご指摘をいただきました。ご教授感謝です。

 

 

おまけ

 

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貝探し中に土から出てきたシーボルトミミズ。日本最大のミミズで九州には割と多いらしいです。

綺麗ですね。

 

一晩限りの栃木遠征 ~東国のタナゴを求めて~

今日も閲覧ありがとうございます、ねんじんです。訳あって半年間京都にいましたが、先日鹿児島に戻ってきました。今後ともよろしくお願いいたします。

 

さて、戻ってくるまでに青春18きっぷ使って5日間ほど旅してたんですが、その折に関東方面にも行ってきました。いろんな方と出会えて実りのある旅になりました、お世話になった方々に改めて感謝申し上げます。

 

3月11日深夜に栃木県某駅に降り立って、徹夜で採集してました。

Googleマップやら県のレッドデータの情報なんかを参考にしながら有力なポイントをいくつか設定して、そこを徒歩で巡りながら採集しようと思ってたんですが、関東住みのフォロワーさんに急遽同行していただけることになり(感謝)最終的に車で巡ることに。

合流するまでは一人で採集してましたが、最初のポイントで早速捕れてしまったのがこの子…

 

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この遠征最大の目的でもあるタナゴ Acheilognathus melanogaster

単なるタナゴ類ではなくいわゆるマタナゴ、標準和名のタナゴです(しつこい)

まさか本当に捕れてしまうとは……当てずっぽうのポイントでも行ってみるものですね。

夜中の採集なので写真が少々汚いですが…

 

しかし3月も半ばになったとはいえ福島との県境からもそう遠くない栃木の山中。気温も2℃ほどになり寒さに耐えきれず川から上がって一旦採集を中断。他にここで採集できたのはヒガシシマドジョウ、ウグイなど。

 

しばらくしてフォロワーさんと合流し、2か所目のポイントに向かいました。

そこでも嬉しい出会いが。

 

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こちらも関東や東北太平洋側などでしか見ることのできないアカヒレタビラ Acheilognathus tabira erythropterus

雌なので名の由来でもある鰭先の赤色は出ていませんが、東日本固有の希少なタナゴ類が一度に2種も捕れてしまい万々歳なのでありました。ちなみにタナゴはここでも確認できました。

 

他にも

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めっきり減ってしまったと聞くナマズの仲間、ギバチ Tachysurus tokiensis なんかも登場。

栃木の淡水魚の魅力を存分に堪能できた春の遠征となりました。

 

上野行きの始発に間に合うように夜明け前の黒磯駅まで送っていただき解散。ここから鈍行で鹿児島中央まで行く長い旅が再開されるのでありました。

 

栃木にはまた夏にでも来て雄のアカヒレタビラの婚姻色を拝みたいですね。

季節外れのかたつむり探し @京都・貴船

ようやく暖かくなってきましたね。閲覧ありがとうございます。ねんじんです。

一昨日の話です。京都での所用がてら、洛北は貴船に軽く陸貝を探しに行ってきました。バリバリに晴れていたので過度な期待はせずにまぁぼちぼちと。

なにげに今年初のカタツムリ採集だったりします。長く厳しい冬だった...

 

叡山電鉄の終点・鞍馬一つ手前の貴船口駅からバスで向かいます。貴船口までは地下鉄国際会館駅からバスも出ているので、京都駅方面からはこちらのほうが便利そうです。

 

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貴船神社。結構山深いところなんですが川沿いにお土産屋や茶屋が軒を連ねているのが京都らしいなぁと。観光客も多いです。

 

川沿いに上っていき、熊手で枯れ葉をかき分けて貝を探していきます。

ニシキマイマイの死殻は多いんですが肝心の生体がなかなか見つかりません。

それでも最終的にはこんな子たちとお目にかかることができました。

 

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殻径2cmほどの小さいニシキマイマイ Euhadra sandai sandai

特徴的な火炎彩(殻頂から放射状に出る縞模様)はまだ出ていません。ちょっと大きくなるまで育ててみようかな。

 

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ヤマキサゴ Waldemaria japonica

小さく赤い可愛い陸貝です。有肺類ではないのでヤマタニシのように蓋を持ちます。

なかなか殻から出てきてくれず軟体部を撮るのに難儀しました。

 

生きた個体が捕れたのはこの2種。ほかにニッポンマイマイやシリオレギセルなんかの殻も転がっていましたが生体は次回にお預けですね……時間があればGWあたりにまた来てみようかなと思います。

 

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余談ですが貴船口駅の売店で、名物の「栃餅(とちもち)」が一つ110円で売っていました。

おいしいです。お土産や旅のお供にでもどうぞ。

丹後の小河川にて

日帰りで丹後の方までお魚採集に行ってきました。まだ雪は結構残ってるんですが意外と寒くなかったです。

この地域固有のある魚についてはある程度耳にしていたのですが、近縁の他種の生息地の傾向から砂底の小河川に目星をつけていざ採集。

 

結論からいうと、捕れました。

 

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今回の主役ですね。

タンゴスジシマドジョウ Cobitis takenoi

どことなく九州のヤマトシマドジョウに似てるな、というのが第一印象でした。

写真の個体は雄です。胸鰭基部の骨質板の形態(円盤状)からすぐにそれと確認できました。

 

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同所的に捕れたオオシマドジョウ Cobitis sp. BIWAE type A

最初ニシシマと勘違いしていました……雄の胸鰭の骨質板の形状(細く尖る)でタンゴスジシマドジョウとは識別できます。体側の模様や尾柄部上下の黒斑の出方など他の形態にもかなり差異がある印象。

 

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カマツカ(Group1) Pseudogobio esocinus

今回一番多く網に入った魚。底物狙いだとまぁそうなるか。

どこでも捕れるといえばどこでも捕れるんですが、可愛いですよね。

個人的には好きな魚です。

 

あとはタモロコやカワムツなどお馴染みの面々。そこまで淡水魚相が豊富な地域ではないので十分成果は出せたかなと…

日本海側の自然分布東端(由良川水系)のオヤニラミなんかも狙ってみたかったんですが、この直後に雨に降られあえなく撤収。

 

おわりです。

淀川ワンド 泥中の黒い宝石

今日も閲覧ありがとうございます。

淀川本流に隣接するとあるワンドに行って採集してきました。

 

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こんな泥深い沼地に胴長を着てザブザブ入っていきます。寒いよ〜

今回狙うのはとある二枚貝。最初は泥の中でなかなか手応えが掴めず難儀したんですが、ふと足に硬いものが当たる感触がしたので掬い上げてみると……

 

あっさり捕れてしまいました。

 

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今回の目的、オグラヌマガイ Sinanodonta ogurae 

琵琶湖淀川水系固有の淡水二枚貝で、和名はかつて桂川宇治川・木津川の合流点付近にあった “巨椋池(おぐらいけ)” に多産したことに由来します。現在は淀川流域のワンドなどで細々と生き延びている珍種。

 

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白バックだとこんな感じ。

ドブガイなんかによく似ていますが、翼状突起や殻頂付近の殻表のうねりなど独自の形態的特徴があります。

 

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最終的にオグラヌマガイだけで8個体採捕できました。他には同所的にドブガイもいます。

 

短い時間でしたが、お宝探しをするような感覚で楽しめました。

標本用に1個体のみ確保してリリース、帰路につくのでありました。

ポイントを案内して頂いたUmeonid氏に感謝申し上げます。 

木津川水系のとある川に

魚捕りに行ってきました。

といっても別に遠出したとかでもなくて、自宅からチャリで20分そこらの小さな川です。ついさっきふらっと行ってふらっと帰ってきました。

 

数日前に和歌山は印南海岸まで日帰り磯採集キメてたんですが、成果があまりにも悲惨すぎて記事にしなかったんですよね……やっぱり今年の寒波はヤバいです。そこらじゅうに死滅回遊魚でもないカエルウオやイソギンポの死骸が転がってましたし。

そういえば白浜で熱帯魚の死体が多数上がってるってyahooニュースの記事にもなってましたね。もうすぐ帰るけど鹿児島の方はどうなってるのかな。ちょっと心配ですね。

 

まぁそれはさておき今日の本題です。連日の冷え込みで水面が一部結氷してたりましたが、お構いなく胴長でバキバキ割りながら突撃。

 

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ヨドゼゼラ Biwia yodoensis

名前が示す通り淀川水系固有種。絶滅危惧ⅠB類(だったかな)の割と希少な魚ですが、ここでの個体数は安定しています。ちょっとした深場に網を入れればまとまった個体数が捕れるので、群れで越冬してるんでしょうね。この子は冬の方がよく捕れる印象。

 

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チュウガタスジシマドジョウ Cobitis striata striata

本州・四国の瀬戸内側に分布するスジシマドジョウ。絶滅危惧Ⅱ類。この川では珍客さんです。今日捕れたのは2個体。

鮮やかな縦条が入る美しいドジョウです。

 

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シマヒレヨシノボリ Rhinogobius sp. BF

以前トウヨシノボリと言われていたもののうち1タイプ。第2背鰭や尾鰭の点列、尾鰭下部の赤橙色が形態的な特徴として挙げられますが分類学的に混迷しています。

この魚もこの川では少ないです。

 

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タイリクバラタナゴ Rhodeus ocellatus ocellatus 

言わずと知れた国外外来タナゴ。この川のタナゴ類は他にカネヒラもいますが今日は捕れず。冬なので婚姻色は褪せていますがそれでも綺麗です。在来種カネヒラの生存を脅かす原因になってなければいいんですが、産卵期が被りにくいのが幸いしてかこの水系ではある程度共存はできてそうです。

 

他はカマツカG1、ドジョウ、ギンブナ、タモロコ、オイカワ等いつものメンツですね。採集後全てリリース。

 

次に来るのは帰省する8〜9月になるかな。カネヒラの婚姻色を見に来たいですね。

 

おわり。