なまずのねどこ

ちょっとオタク寄りな旅の記録。B級スポットとか県境とか駅とか魚捕りとか。常にどこかに出かけていたい負け組大学生。

新緑の北摂でかたつむり探索

5月も下旬に差しかかり、梅雨の足音が近づいてきました。そろそろ陸貝が熱い時期ですね。

土砂降りの雨は未明に上がり、涼しく爽やかな朝の空気。こんな日は、カタツムリを求めて出かけましょう。

 

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やってきたのは大阪北摂のとある山。雨が上がってすぐ出発した甲斐あって、虫や貝たちも活気づいていました。

以下、主な採集成果です。カメラにガタがきており、写真がいつもにも増して雑です、申し訳ありません

 

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ベッコウマイマイの仲間。ウラジロベッコウ Urazirochlamys doenitzii かな。

体に対して殻が小さく、普通のカタツムリのように軟体部を引っ込めることができない、捕まえようとすると体をくねらせて抵抗します。

 

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落ち葉混じりの土の上を這っていたシリオレギセル Decolliphaedusa bilabrata 。成長に伴って殻頂が折れるのが名の由来です。

 

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ナミマイマイ Euhadra sandai communis 。関西ではクチベニマイマイと並んで最も多く見られる大型のカタツムリ。でかいです。

 

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アワジオトメマイマイ Trishoplita awajiensis

 

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コベソマイマイ Satsuma myomphala 。透けて見える軟体部の模様が美しいです。

 

午後からは、少し移動して京都寄りの別ポイントへ。

 

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こちらは神社林です。日は昇ってしまったものの、カタツムリの好む雨後の湿っぽさは健在です。

 

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ニッポンマイマイ Satsuma japonica 。謎のポージング中。かわいい。背筋かな?(すっとぼけ)

Satsuma属は体がよく伸びますね。

 

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クチマガリマイマイ Aegista cavicollis 。地味に初採集の子。ねじれた殻口の形が特徴的な、殻径5〜6mmほどの小さなカタツムリです。

 

他にはコウベマイマイの死殻なんかも。個体数は少なそう。

標本用に数個体お持ち帰り。

 

うっとうしい梅雨ですが、雨が降るたび愛らしい彼らとの出会いに胸をときめかせられると考えれば、案外悪くないように思えてきますね。

タツムリはいいぞ。

金沢市大桑・犀川河原の化石

もう1ヶ月近く前になりますが、日帰りで金沢に行ってきました。

北陸鉄道石川線に乗ったり町中をぶらぶらしたりといろいろしたんですが、一番の目的が『化石採集』です。

 

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金沢駅から市街の南方にある「涌波一丁目」停留所まで、バスに揺られること30分ほど。ここから歩いて金沢を象徴する川である犀川の河原にアプローチしてみます。

 

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現地に着き「大桑貝殻橋」という歩行者専用の橋を渡ります。

この「大桑」、地名の読みこそおおくわなのですが、地学用語ではおんまと読むそう。この橋の読みは後者で、地名の方も昔はおんまと読んだらしいですね。難読ゆえに読みの変更を余儀なくされたんでしょうかね?

 

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いざ河原に降りると一面の甌穴(ポットホールが目を引きます。岸にできた凹凸に押し流されてきた石が水流で回転することにより、基岩が長い時間をかけて削られ綺麗な丸い穴を形成していくというメカニズムですね。

一部には右の画像のような貝殻が露出している地層も見られます。基本的にここで化石を掘ることになります。

以下は主な成果。

 

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左:オンマサルボウ
右:ナガサルボウ

汽水や浅海域でお馴染みのサルボウガイの仲間。「アカガイ」の近縁種といえばピンとくる方も多いのではないでしょうか。

 

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左:エゾタマキガイ
右:アラスジサラガイ

アラスジサラガイは現生種でもあります。きめの細かい成長脈が綺麗です。

 

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ヨコヤマホタテ

北陸地方特産の絶滅種で、この大桑層にもよく見られます。欠けたところのない完品ばかりではないですが、根気よく探すとそれなりの数が見つかりました。

 

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左:ニッポンヨウラク

中:ヒダリマキイグチ

右:タマガイの仲間

巻貝シリーズ。左巻きの海産巻貝ってあんまり見ないですよね。

 

といった感じでした。

結局2時間くらいしか採集できなかったので、次は北陸の観光も絡めて泊まりで長居してみたいですね。もっと新たな発見があるかも。

 

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新手の町興し?大阪鶴見の『良縁街道百福線』

大阪市鶴見区横堤に、一風変わった方法で町興しを図っている場所があります。

その名も『良縁街道百福線』。

 

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地下鉄横堤駅から徒歩2〜3分ほどの商店街の外れにあります。

ぱっと見は下町にありがちな普通の団地という感じですが、注目すべきはその外側のフェンス。

 

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!???!?!?w

なんと、フェンスの道路側に日本各地の鉄道の駅名標を括り付けて展示しているのです。それも "縁起の良い駅名" をわざわざチョイスしているとのこと。

大阪市内にありながら、今一つ寂れた雰囲気が拭えない横堤界隈に活気を取り戻すための発案だそうです。鉄道や地理のオタク以外に需要あるんですかね…?

ちなみに画像の美合駅は愛知県にある名鉄名古屋本線の駅です。隣駅に『OTOKOGAWA』とありますが、正しくは『OTOGAWA(おとがわ・男川)』です。

よく見るとフォントも変なような……模造品ですかね?

 


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その隣は山梨県富士急行線寿駅です。ホーム上にある狭義の駅名標ではなく、駅舎の入り口などに掲げられるいわゆる "第1種駅名標" ですね。

ご丁寧に、その駅の特徴や最寄りのJR駅である放出(はなてん)からの行き方までも記されています。

 

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これは割と有名ですかね。東京都・JR青梅線福生。予め知っていないとなかなか読めない、いわゆる難読駅の類でもあります。

 

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続いて札幌市営地下鉄東豊線福住駅

札幌地下鉄の3路線は矢印の書き方や隣駅表示に "次は" が入るなど独特ですよね。書式はどの路線もほとんど同じで、ラインカラーだけが異なります。

 

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『福』が三連続。奈良県近鉄大阪線大福駅です。

近鉄駅名標はナンバリング入りの新デザインに置き換えられてしまったので、茶とオレンジの帯を纏った駅名標を見られる場所は今では割と貴重だったりします。

 

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こちらも同じ旧近鉄デザイン、愛知県・近鉄名古屋線黄金駅です。

北海道にも同名の駅がありますね。

 

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最後は岡山県・JR山陽本線万富駅。巨万の富。

これは多分模造品ですね……こんな感じでUIゴシックが公共交通のサインシステムに用いられている例は見たことがないです。JR西なら大概が新ゴかゴナですし。

 

こういったスポットってありそうでなかなかないんですよねぇ。僕もポケモンGOしながら鶴見緑地周辺をうろついていた時に偶然見つけたタチです。

駅名標やサインシステムが好きな方には割とおすすめのスポットですよ。

 

読了ありがとうございました。

 


されど鉄道文字―駅名標から広がる世界

淀川の春の風物詩 シロヒレタビラ

だいぶ暖かくなってきたので、淀川にシロヒレタビラを釣りに行ってきました。

 

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婚姻色の鮮やかな雄。惚れ惚れする碧色です。

 

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こちらは別の雄個体。少し痩せてはいますが、これはこれでいい感じですね。

 

例によって写真だけ撮ってリリースです。タモロコやコウライモロコなどの外道もよく釣れました。

 

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現在こそ淀川における彼らの生息環境は保たれていますが、乱獲や都市開発などの魔の手が迫っているのもまた事実で、その行く先は決して楽観視できない状況です。我々一般人にできることは少ないながらも、彼らの楽園を潰してしまうことのないよう、生息地の安易な流布に繋がらないような啓蒙の方向性を模索していくべきだと考えています。

 


日本の淡水魚 (山溪ハンディ図鑑)

手軽に歩ける廃線・福知山線旧線(生瀬~武田尾) 武庫川渓谷の廃線跡を辿る

京阪神地区で気軽に廃線巡りができる場所として真っ先に挙げたいのが、武庫川に沿うように走っていた福知山線廃線区間です。前に紹介した大仏線の廃線跡奈良市街から至近という点では "推せる" んですが、奈良から県境を越えて京都府の加茂まで10km以上の道のりを歩くことになるのでかなり疲れるんですよね。

 

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トレッキングの起点となる生瀬(なまぜ)駅は宝塚から電車で1駅、大阪駅からも30分ほどでアクセスできる交通至便の地です。ここから廃線敷を武庫川沿いに北上し、同じ福知山線(JR宝塚線)の武田尾駅を目指します。

 


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福知山線旧線は西宮と宝塚の市境に沿ってはいるものの、市街地から六甲山系を隔てた北側にあるため、夙川などの高級住宅街や甲子園球場のある一般的な西宮のイメージからはかけ離れているかもしれません。ここ生瀬駅もやはり西宮市に位置しています。

 

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生瀬駅を出てから廃線敷の起点までの間には随所にこのような案内図が掲げられているため、迷うようなことはないでしょう。

 

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途中、福知山線(新線)の盛り土を突っ切る形で細いトンネルが貫いています。これも旧線の名残のひとつです。

 


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国道176号線が坂を登る辺りから廃線敷が北に伸びています。右は突き当たりの様子。

起点にはハイキングコースの大まかな案内板がありますが、福知山線旧線に関する情報はほとんどありません。

 


武庫川渓谷廃線跡ハイキングガイド[歩いて学ぶ トンネル・鉄橋・自然]

このような詳細なガイドも用意されているので、事前に購入しておくのも手でしょう。

 

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付近にはこんな注意書きもあります。武庫川の急峻なV字谷の谷底を通る都合上落石は本当に多いらしく、実際にガレ場のようになっている場所もちらほら。

またトンネル内は昼でも薄暗いため、懐中電灯を持参するのが無難です。荒天時に探索するのも控えたほうがいいでしょう。

 


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まだ枕木の跡が残る廃線跡を、武庫川を横目に見つつ歩いていきます。

 


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1つ目のトンネルをくぐる辺りにはぽつぽつと古い石組みの構造物や錆びた梯子が見られます。おそらくは保線関係の設備として使われていたものでしょうが、その役目を終えて30年以上が経った今では自然に還りつつあるようです。

 

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生瀬側から見て1つ目のトンネル「北山第1隧道」。なかなか立派なトンネルですね。

 


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中はこのような感じでかなり暗いです。おまけにぬかるんでいる箇所もあるので要注意です。

 


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しばらくは武庫川に付かず離れずという形で道なりに進みます。訪問時は1月だったこともあり、ところどころ雪もありました。

 


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2つ目のトンネル「北山第2隧道」の出入り口。前の隧道とは異なり、周縁部にはレンガ積みの構造が見られます。

 


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小規模なトンネル。壁面に印された刻印は1958年というかなり古いものでした。

 


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都市部からそう遠くないとはいえやはり山間部、氷柱もあちこちからぶら下がっています。

 


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崖の真下はすぐ水面、というような場所を廃線跡は通っていきます。枕木もはっきり残されていて、これぞ廃線!といったところです。というかこんなところによく鉄道通したなぁ。

 


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当時のまま残る24キロポスト。平たく言えば尼崎からちょうど24kmの地点ということで、こんな渓谷沿いの山の中であっても近郊地区だということを実感させてくれます。

その武田尾側には積まれた木材がありました。なんでしょうね。

 


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先ほどの小さいトンネルを除くと3つ目の「横溝尾隧道」。無骨な隧道を抜けると赤い鉄橋(第2武庫川橋梁)が見えます。

今回紹介する廃線区間唯一の橋で、この橋こそが西宮市と宝塚市のちょうど境界でもあります。

 


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4つ目のトンネル「長尾山第1隧道」を抜け、武庫川が大きくカーブする地点に差し掛かりました。

 


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どう見ても川には降りれそうにないですが親水公園?らしい。この辺り、武田尾一帯は桜の名所みたいです。満開の頃にまた行ってみたいですね。

 


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そのままレンガ積みの2つのトンネル「長尾山第2隧道」「長尾山第3隧道」を抜けます。左の画像なんか、まさに土砂崩れせんとする現場ですね……

 


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ほどなくして細い橋が見えてきます。武田尾駅はもうすぐそこです。


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生瀬駅から約2時間かけて武田尾駅に到着。ホームの南側は橋の上、北側はトンネルに突き刺さっているすごい構造の駅です。

列車は15分に1本やってくるので、帰るもよしこのまま武庫川沿いに探索を続けるもよし。

 

以上、廃線探索のススメでした。

 

大回り乗車の最長経路について@大阪近郊区間 2019年度版

なかなか遠出できそうにないのでちょっとした小ネタを。

本日3月16日にJR6社のダイヤ改正が実施され、JR西日本管内ではおおさか東線が延伸開業しましたね。今回の話題はそのおおさか東線の開業が大阪近郊区間内における "大回り乗車" に及ぼす影響についてです。

 

JRには、大都市近郊区間(東京・仙台・新潟・大阪・福岡)内において普通乗車券or回数乗車券で利用する場合、実際に乗車した経路に関わらず最短経路で運賃を計算するという特例があります。この制度を利用し、一筆書きの要領で長い方の経路を選択して乗車する方式が俗に言う "大回り乗車" です。

原則として途中で改札を出ることができない、エリア外にまたがる利用はできないといった制約があるので、大都市近郊区間内で完結し、なおかつ一度通った駅を二度通らないというのが基本のルールです。ただ、いくら不正乗車にあたらないとはいえJR側が想定している利用方法を超越しているという批判も多いため、大回り乗車をした旨を大々的に吹聴するのはちょっと憚られるのも現状ですね。

 

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おおさか東線・(放出-)鴫野-新大阪間開通後の大阪近郊区間の概略図です。この範囲内で最長の経路について考察していきたいと思います。

 

①尼崎駅とその隣駅の扱い

大回り乗車のルート選定におけるキーとも言える駅が尼崎駅です。というのも、尼崎を境に西側のルートが実質2通り(立花→加古川→谷川→塚口、またはその逆)しかないためです。

そのため、なるべく総距離を長く取ろうとなると、尼崎の隣駅(立花or塚口)からスタートし尼崎の隣駅(塚本or加島)でゴールする(またはその逆)という条件に従うことになります。

尼崎駅と隣駅との距離は、立花が3.0km、塚口が2.5km、塚本が4.3km、加島が2.2kmです。このうち最短の組み合わせである塚口加島が始終着駅となります。

 

②環状路線の扱い

区間内には環状の路線(∴2通り以上のルートが取れる路線)がいくつもあります。そのうち(大阪環状線を除いて)最も外側にあるのが

山科-(湖西線)-近江塩津-(北陸本線)-米原-(東海道本線)-山科

京都-(東海道本線)-草津-(草津線)-柘植-(関西本線)-木津-(奈良線)-京都

奈良-(桜井線)-高田-(和歌山線)-王寺-(関西本線)-奈良

天王寺-(関西本線)-王寺-(和歌山線)-和歌山-(阪和線)-天王寺

の4つですね。この外側(山科-近江塩津-米原-草津草津-柘植-木津奈良-高田高田-和歌山-天王寺)が最長ルートとして確定します。

天王寺から北の大阪環状線は、現時点で西九条→大阪or鶴橋→京橋の2通りのルートがありますが、ここは保留としましょう。

木津-奈良間では天王寺を経由できないため、自動的に木津-放出-久宝寺-奈良というルートが確定します。

 

③京都-加島、尼崎-天王寺のルート選定

京都から南、奈良線にルートを取るとそのまま木津で先ほど確定したルートにぶつかってしまいます。よって京都-新大阪が確定します。新大阪から加島まではおおさか東線・鴫野・JR東西線経由がこれまで選んだ路線と接しない唯一のルートのため、これも確定です。

先ほど保留とした天王寺以北尼崎までについて、2通りのルートのうちこれまで選んだ路線と接しないのは西九条・大阪経由のみです。

 

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これらの条件により、上のルートが完成します。

3月16日のダイヤ(土日ダイヤ)で実際に行程をシミュレーションしてみましょう。

 

塚口 6:05発─普通 福知山行き→谷川 7:32着

谷川 7:42発─普通 西脇市行き→西脇市 8:12着

西脇市 8:24発─普通 加古川行き→加古川 9:09着

加古川 9:22発─新快速 敦賀行き→大阪 10:13着

大阪 10:24発─紀州路快速 和歌山行き→和歌山 11:54着

和歌山 12:55発─普通 奈良行き→奈良 16:13着

奈良 16:24発─直通快速 新大阪行き→放出 17:02着

放出 17:25発─快速 木津行き→木津 18:19着

木津 19:07発─大和路快速 加茂行き→加茂 19:13着

加茂 19:24発─普通 亀山行き→柘植 20:17着

柘植 20:20発─普通 草津行き→草津 21:15着

草津 21:23発─新快速 長浜行き→長浜 22:10着

長浜 22:18発─普通 敦賀行き→近江塩津 22:41着

 

そう、実はこの最長ルート(塚口→加島)、ダイヤの関係上終電までにゴールできないのです。これは逆の行程で試してみても同じでした。

 

 f:id:nenjin:20190316223336p:plainでは、発着駅を立花と塚本に変更したこのルートならどうでしょうか。

 

立花 6:03発─普通 西明石行き→芦屋 6:13着

芦屋 6:15発─快速 網干行き→加古川 7:11着

加古川 7:17発─普通 西脇市行き→西脇市 8:15着

西脇市 8:19発─普通 谷川行き→谷川 8:50着

谷川 9:09発─特急こうのとり8号 新大阪行き(※)→尼崎 10:14着

尼崎 10:24発─普通 四条畷行き→鴫野 10:46着

鴫野 10:53発─普通 新大阪行き→新大阪 11:06着

新大阪 11:20発─新快速 敦賀行き→近江塩津 13:02着

近江塩津 13:07発─新快速 姫路行き→草津 14:22着

草津 14:57発─普通 柘植行き→柘植 15:40着

柘植 15:42発─普通 加茂行き→加茂 16:35着

加茂 16:41発─大和路快速 天王寺行き→木津 16:47着

木津 16:56発─快速 新三田行き→放出 17:47着

放出 17:56発─普通 久宝寺行き→久宝寺 18:12着

久宝寺 18:16発─快速 奈良行き→奈良 18:45着

奈良 19:25発─普通 王寺行き→高田 20:12着

高田 20:18発─快速 五条行き→五条 20:47着

五条 20:52発─普通 和歌山行き→和歌山 22:18着

和歌山 22:31発─普通 天王寺行き→日根野 23:01着

日根野 23:02発─関空快速 天王寺行き→天王寺 23:36着

天王寺 23:40発─普通 弁天町・西九条方面→大阪 0:00着

大阪 0:13発─普通 西明石行き→塚本 0:16着

(※特急券大回り乗車とも併用可能)

 

こちらはうまく収まりましたね。日は跨いでいますが、終電までなら普通乗車券は効力をもちます。

つまり、行程も含めて実際に可能な大回り乗車の最長ルートは立花→塚本となります。総距離を算出すると748.0kmという結果が出ました。

 

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こちらはダイヤ改正前の大回り乗車の最長経路、総延長738.9kmの内訳です。今回のダイヤ改正で大回りできる距離が理論上9.1km伸びたことになります。

 

以上です。これ実際にやってくれる人おらんかな(他人事)

 

 

追記(4/6)

Twitterの方でご指摘をいただき改めてルートの選定を見直してみたところ、重大なミスを発見しました。

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出発駅を塚口駅に設定した上のルートでも終電までにゴールできるんですよね……しかも特急課金なしで。これによって最長距離が500mだけ伸び、748.5kmになりました。

完全に盲点でした。申し訳ないです。

 

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大回り乗車完全ガイド (イカロス・ムック)

JR山野線の廃駅めぐり(薩摩大口・山野・薩摩布計)

鹿児島本線(現・肥薩おれんじ鉄道)・水俣駅から肥薩線栗野駅までを結んでいたJR山野線。1980年代に相次いだ南九州の廃線のひとつです。

先月鹿児島に行った際に一部の駅跡地を訪問してきたので、そのときの様子について書き記しておきます。

 

■薩摩大口 さつまおおくち -JR山野線(廃)


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民営化の日の目を見ずに廃止となった宮之城線との分岐駅で、山野線の中核的な役割を担っていた駅です。画像の駅名標の右側、西菱刈の下が塗りつぶされている点にも分岐駅だった名残が見られます。

駅跡地は跡形もないですが、近くにある大口歴史民俗鉄道記念資料館に当時を偲ばせる品々が展示されています。

 

■山野 やまの -JR山野線(廃)


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路線名の由来になったとは思えないほど辺鄙で小さな駅。伊佐市大口の市街地からそう遠くはないので、バスで訪問するのは比較的容易です。

廃止当時の面影を残す広場は鉄道公園として整備されており、記念碑や駅名標などが残されています。

 

■薩摩布計 さつまふけ -JR山野線(廃)


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熊本県との県境からほど近い山間の小駅。よくこんな場所に鉄道を通したなと思わずにはいられないレベルの僻地にあり、記念碑や駅名標が残されているものの、見つけるのにかなり難儀しました。

伊佐市街地からオンデマンドタクシーで行くか、最寄りの西山野バス停から5kmほど歩くことになります。

 

全ての駅跡を巡れたわけではないので、機会があれば追記しようと思います。

 


新・鉄道廃線跡を歩く5 四国・九州編