24〜25日の2日間で岡山県まで採集に行ってきました。恵まれた水域環境から水生生物相も豊かでなかなか面白い土地柄でした。
まずは倉敷近辺で備讃地域固有のカタツムリであるアキラマイマイを狙います。
この時期の陸貝採集は石や朽ち木の下に潜って越冬する個体を狙うのが主な手法です。夏みたいに雨が降っても出てきてくれないので…
土で服が汚れたり、せっかく見つけても死殻だったりと、この時期に採集するメリットが正直あんまりないのですが、捕りたいもんは仕方ないのです。
山の斜面に転がる倒木をひっくり返すと……
セトウチマイマイに混じって殻径2cmほどの独特な形状の殻口のカタツムリがたまにころっと出てきます。まぁ殆ど死んでて殻だけなんですけどね…
実際生きていたのは数個持ち帰った殻から復活した写真の1個体のみでした。
アキラマイマイ Satsuma akiratadai
西南日本に広く分布するシメクチマイマイの近縁種で2015年に記載された新しい種類。見た目も瓜二つ、頼りの綱の形態の違いも解剖しておち◯ちん見ないと分からないというなんとも紛らわしいカタツムリです。
私のようなパッと出のカタツムリオタクが解剖して分かるもんでもないですが、模式産地で混生もしてないということでまぁアキラマイマイでしょう。産地同定は良くないですがこればっかりは仕方ない……
セトウチマイマイ Euhadra subnimbosa
生息数は圧倒的にこちらが多いです。生体も死殻もゴロゴロ出てきます。
上の画像は火炎彩の明瞭な個体ですが、横の色帯が濃かったりほぼ無斑の個体もいたりします。
色帯のある個体、無紋の個体。
ヤマクルマガイ Spirostoma japonicum japonicum
普通種といえば普通種。大まかに言えばヤマタニシの仲間で、円錐形の分厚い蓋を持ちます。
軟体部を出して活動するときは大きく窪んだ臍孔(さいこう)にその蓋を収納。無駄のない作りですね。
まぁたった1個体ではあれ目的のマイマイが得られてとりあえず満足。この日は倉敷のネカフェに宿泊。
翌25日。始発で倉敷を出てお魚捕り。
筑紫平野や霞ヶ浦周りの水郷ほどではないものの、岡山市周辺はわりと用水路風の小河川が張り巡らされている箇所も多く期待できそうです。
岡山では初めての採集で辺りの地理にも疎いので、ひたすら歩き回って勘と運に頼るしかないです。レア物来てくれ。
最初はなかなか思うように魚が捕れずもどかしい思いをしましたが、ポイントを引き当てればやはり捕れるものですね。
サンヨウコガタスジシマドジョウ Cobitis minamorii minamorii
数あるコガタスジシマ系統の基亜種で、レッドリストの絶滅危惧ⅠA類にも指定されている希少なドジョウ。名の通り山陽地方の固有亜種です。
ここで思わず「よっしゃ!!!」と叫んでしまい通行人に振り向かれるとかいうバカをやらかす。雄叫びは人がいないのを確認してからやりましょうね…
ズナガニゴイ Hemibarbus longirostris
この子も捕れると嬉しいカマツカとニゴイを足して2で割ったような魚。滋賀県では流れの速い川の中流域で捕りましたが、細めの用水路にもいるんですね。
ギギ Tachysurus nudiceps
背鰭と胸鰭に鋭い棘をもつナマズの仲間です。かわいい。
割と水の綺麗な川に多い印象ですが、写真の個体は泥底の下流域のブッシュに潜んでいたものです。
オバエボシガイ Inversidens brandti
なにげに初採集の希少種。イシガイ科の例に漏れずタナゴ類の産卵母貝のひとつ。
淡水二枚貝には正直疎いのですが、狙って探すのも面白そうではありますよね。
真打は後からやってくる。
カワイワシ Hemiculter leucisculus
中国大陸からのコイ科の国外外来種。カライワシの誤記ではないです。
外来種を採集旅行の真打と書くのもなんだかアレですが、ずっと捕ってみたかった魚だったもので…
日暮れ時にやっと論文に記載された生息地に着き、水面をヘッドライトで照らしながら動き回ってるところを捕りました。泳ぎが素早いので昼間捕るよりこの方がいいかもしれませんね。
容姿はオイカワとワタカの間の子と形容されたりもしていますね。
夜8時に岡山駅に到着する頃には疲れ果て、山陽本線の車内で爆睡しつつ帰宅しました。
おしまい。