先日のお話。
鹿児島は錦江湾岸へ鉱物採集に行ってきた。この日はもともと霧島の内陸部で魚卵状珪石(温泉地から産出するオパールの一種)を採取するという寸法だったが、現地に向かうバスが平日しか運行されていないことが判明し、やむなく別の予定に変更することとなった。
鹿児島駅の隣駅である竜ヶ水で下車。薩摩・大隅国境の長い断崖絶壁に無理やり作られたような立地のため、両隣の駅まではかなりの距離がある。利用者が極端に少なく約半数の普通列車が通過(!)し、SUGOCAもエリア内でこの駅だけ利用できない。桜島の眺望はすこぶる良い。
駅の目の前の国道に出て、適当な場所から海岸へアプローチする。程なくして黒くゴツゴツとした独特の光沢の石を発見。黒曜石である。
天然の黒曜石を手に取ったことがなかったので、現地に赴く前は実際に他の石とはっきり区別がつくのか少し不安だったが杞憂であった。ガラスに近い成分のため、劈開(へきかい。鉱物の種類によって異なる決まった方向の割れ目)が滑らかで、薄い欠片状のものには透明感がある。
100mほどの範囲で、画像のようにかなりの数を拾い集めることができた。原則的にリカバリーがきかない鉱物資源を採り尽くしてしまうのはまずいので、大きくしっかりとした数個の石を除いて元に戻しておいた。
ここからさらにバスに乗り、霧島市方面の海岸へ。隼人近辺の海岸では旧国名を冠する大隅石を採取できる。
細い道を辿ってこれまた礫の海岸に到着。というよりこの辺りは基本的に礫海岸ばかりである。転石を割って大隅石を探し出す。
これがその大隅石。ケイ酸塩鉱物の一種である。大きくてもせいぜい1〜2mmということもあり非常に分かり辛いが、流紋岩中に含まれる青黒い結晶がそれだ。綺麗な多角形のものも多くなかなか美しい。
ここからバスと列車を乗り継ぎ帰還。距離が長いため時間はかなりかかるが、国分・隼人エリアから鹿児島市内へ直通するバスも多い。アクセスが良いので、鹿児島観光ついでに大地の恵みを感じることができるオススメのスポットたちである。