なまずのねどこ

ちょっとオタク寄りな旅の記録。B級スポットとか県境とか駅とか魚捕りとか。常にどこかに出かけていたい負け組大学生。

急行はまなす最後の夏 北海道放浪記 - Part1 みちのくを往く


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2016年春。北海道新幹線の開業は、本州と北海道を結ぶ各交通網にとって大きな転機となった。首都圏や仙台方面から道南へのアクセスが飛躍的に向上した一方で、かつて隆盛を誇っていた夜行列車群は全て消滅する運びとなり、長く一大ターミナル駅として旅人を送り出してきた青森駅は本州の北の玄関口としての役目を新青森駅に明け渡した。昭和の残り香とともにあったブルートレイン時代の終焉である。

今回はそんな節目を間近に控えた2015年晩夏の旅のお話。

 

9月1日。地元の京都を朝一で旅立ち、日が変わる頃に杜の都仙台に到着。例のごとく青春18きっぷのみを用いての行程だったが、正直いくら安上がりとはいえ健全な旅の在り方とはかけ離れていると思う。18時間近く列車に揺られていると尻の痛みも限界に達し、悟りの境地を垣間見ることとなる。しかし、過ぎ行く町々の空気を肴に、まだ見ぬ土地に思いを馳せるのも悪い気はしない。この日は仙台駅前のネカフェに宿泊。

 

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翌2日。この日は三セクを跨ぐので、18きっぷではなく北海道東日本パスを使う。始発の仙石線でまずは石巻、その先の女川を目指す。車窓からは松島湾がよく見えるが、あいにくの曇天であった。

 

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石巻から女川までは非電化の路線。東日本大震災で甚大な被害を受けた区間の一つであるが、2015年春に全線が運転を再開している。右手に広がる万石浦が途切れると程なくして女川到着のアナウンスが入る。

 

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駅の構造自体は簡素ながら、町営の温泉施設を兼ねた立派な駅舎に驚かされる。地元の方に話を伺うと、運転再開に先駆けて新しく建設されたものとのこと。

 

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折り返し駅ということもあり散策にそれほど多くの時間を割けたわけではなかったが、4年を経ても未だに震災の爪痕癒えない臨港部は復興に向けた人々の営みを感じ取るには十分であり、涙を流さざるを得なかった。
漁師町女川の再起を祈りつつ、辿った鉄路を石巻方面へ引き返す。

 

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港を見るとやはり海鮮物に食指が動く。小牛田への列車を待つ石巻駅で駅弁「大漁宝船」を購入、車内で舌鼓を打つ。少々値は張るが、石巻湾の幸を幾種も織り込んだ凝り具合は見た目も楽しい。

 

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小牛田からは昨日に引き続き東北本線の旅に戻る。東北の郊外で席の確保に困ることはないだろうと高を括っていたが、盛岡行きの普通列車は満員に近い状態であった。東京から長く続いてきた東北本線は、終点盛岡で第三セクターIGRいわて銀河鉄道と名を変えて北へと続いている。

青森県に入ってしばらく進み、下北半島付け根の野辺地(のへじ)で大湊線に乗り換え。

 

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左手に晩夏の陽光を映す穏やかな陸奥湾を望みつつ北上していく。風光明媚な路線だが途中駅を訪問する時間の余裕はなかった。名残惜しく思いつつも、終点大湊で折り返しそのまま一路青森方面へ向かう。

 

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この時点ではまだ北海道や八戸方面への特急も多く発着していた青森駅。乗換時に数多の旅人で賑わうホームは、北の果てのターミナルとしての郷愁を色濃く残していた。

はまなすの入線時間までは少し時間があったので、駅近辺で腹ごしらえ。継ぎ目の駅としての重要さの割に、駅前市街地の活気は他の東北地方の主要都市と比べると少しばかり見劣りしてしまうように感じられる。やはり新幹線の駅が市中心部から離れている影響は大きいのかもしれない。

 

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発車まで45分ほどとなったところで、はまなすが入線。ブルートレインの名の謂われである青い客車を赤い機関車が牽引する。ここから約8時間、札幌までしばし夜汽車に揺られる旅である。

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