なまずのねどこ

ちょっとオタク寄りな旅の記録。B級スポットとか県境とか駅とか魚捕りとか。常にどこかに出かけていたい負け組大学生。

諫早湾干拓堤防道路を徒歩で辿る


スポンサードリンク

先日(といっても1ヶ月以上前ですが…)、旅名人の九州満喫きっぷを使って釣り初めがてら佐賀・長崎方面を旅してきました。3日分で11000円、JR以外の鉄道も乗り放題、青春18きっぷのような利用時期の制約がない、と九州内で完結する貧乏旅行のお供に大変重宝するきっぷです。

特急列車には乗れない(18きっぷと同じく乗車券・特急券を追加で購入する必要がある)ため、基本的に普通列車縛りで旅程を組む必要があり、その際に制約となるのが普通列車の本数が極端に少ない区間です。九州では宗太郎越え(日豊本線・佐伯〜延岡間)を筆頭に、長崎本線肥前鹿島〜諫早間などが有名ですね。

今回の旅程でも、諫早島原鉄道から長崎本線に乗り換える際に2〜3時間のロスが生じることになり、それならいっそ吾妻(島原鉄道)から湯江(長崎本線)まで諫早湾を歩いて横断すれば経路のショートカットと電車待ちの時間潰しを両立できるんじゃないか、という発想に至ったのが事の発端でした。

諫早湾を東西に分断する長大な堤防には道路が走っており、調べてみると歩道も完備されているとのことで歩いて渡りきることは可能なようです。南岸の吾妻駅から北岸の湯江駅まで約10kmなので、まぁ不可能な距離ではないだろうということで決行しました。

 


f:id:nenjin:20210215173008j:image

f:id:nenjin:20210215173013j:image

島原鉄道吾妻駅有明フェリーとの乗り換え駅である多比良と諫早の中ほどに位置する駅です。ここから諫早湾の対岸へと歩いていきます。

 


f:id:nenjin:20210215173042j:image

f:id:nenjin:20210215173036j:image

雲仙市の代表駅ではありますが、駅舎は比較的簡素で殺風景なものでした。雲仙市自体が平成の大合併の際に7町の合併によって成立した経緯を持つため、駅前風景は小規模な町のそれといった趣きです。

 


f:id:nenjin:20210317161801j:image

f:id:nenjin:20210317161755j:image

国道251号線沿いに東へ10分ほど歩くと、堤防道路を示す青看板が見えてきます。表示にある「高来」は現在は合併で諫早市の一部になっている高来町のことで、目的地の湯江駅もそこにあります。

 

f:id:nenjin:20210317162523j:image

島原鉄道をまたぐ高架橋から雲仙岳の山容を眺めつつ歩を進めます。曇天なのが悔やまれますね。

 


f:id:nenjin:20210317162844j:image

f:id:nenjin:20210317162837j:image

程なく堤防上をなぞる区間に差し掛かりました。西側(湾奥方面)は広大なヨシ原になっているのがよく分かりますが、東側は高い土手が続いているため、歩道や道路から景色は見えません。

 


f:id:nenjin:20210317163842j:image

f:id:nenjin:20210317163838j:image

湾奥部と有明海側とを隔てる2つの水門のうちの1つ、南部排水門。堤防が完成してからも20年以上その是非が問われ続けている諫早湾干拓事業の、まさに要といえる場所です。数km先の対岸まで続く堤防の上に巨大な構造物が聳え立つ姿は格好よく見応えはありますが、今辿っているこの道路自体が諫早湾の生態系や漁業者の生活の犠牲の上に成り立っている副産物であると考えると、やはり複雑な思いもありますね…

 

f:id:nenjin:20210317165512j:image

堤防道路は完全な直線ではなく、吾妻寄りと高来寄りの2箇所で微妙に折れ曲がっており、このような写真が撮れます。堤防の盛り土の高さはほぼ一定ですが、道路のアップダウンは微妙にあるようです。

 


f:id:nenjin:20210317165956j:image

f:id:nenjin:20210317165952j:image

面白いと思ったのが、サルボウ(アカガイの仲間)の貝殻がそこらじゅうに落ちていたこと。おそらくカラスなどの鳥が干潟で捕まえた貝を道路に落として食べた名残なのでしょうが、落ちているのが干潟性の貝という点がなんとなく有明海という土地柄を感じさせます。

 


f:id:nenjin:20210317170501j:image

f:id:nenjin:20210317170454j:image

吾妻側の岸から3km辺りの地点で市境をまたぎ、諫早市に入ります。振り返ると、直線的な道路の果てに聳え立つ雲仙岳

 


f:id:nenjin:20210317171027j:image

f:id:nenjin:20210317171024j:image

折り返し地点を過ぎた4km地点には駐車場が設けられ、両岸へ延びる堤防道路を歩道橋から一望できます。

 


f:id:nenjin:20210317171430j:image

f:id:nenjin:20210317171426j:image

ちょっと休憩してからまた歩き出します。余談ですが、歩行者は少ないかと思いきや、ジョギング中の方と結構すれ違いました。走ってて気持ち良さそうなコースですもんね。この距離になるとジョギングというよりマラソンですが…

 


f:id:nenjin:20210317172135j:image

f:id:nenjin:20210317172142j:image

対岸がだいぶ近づいてきました。カーブを曲がった後には、先ほど見たのと同じような水門がありました。こちらは北部排水門です。


f:id:nenjin:20210317172417j:image

f:id:nenjin:20210317172414j:image

高来側の岸には供用開始記念の植樹や開門反対の看板が立ち、干拓事業に伴う行政と住民の軋轢を感じさせます。

 


f:id:nenjin:20210317172654j:image

f:id:nenjin:20210317172657j:image

堤防道路の北側は、国道207号線に合流する形になっています。この辺りから西側が旧高来町の市街地です。

 


f:id:nenjin:20210317173043j:image

f:id:nenjin:20210317173037j:image

湯江駅に到着。吾妻駅から2時間半、約10kmの道のりでした。駅近くのスーパーで食糧を調達し、しばし腹拵え。

ここから肥前鹿島方面への普通列車に乗って、次の目的地へと向かいました。

 

f:id:nenjin:20210317175342p:image