訪問日:2018年12月13日
十数年前まで、宮崎県北部の中心都市・延岡と神話の里・高千穂を結ぶ鉄道路線が存在していました。その名も高千穂鉄道高千穂線。
2005年秋の台風で甚大な被害を受け運行休止、3年後にそのまま廃止になってしまうという悲運の鉄道です。
そんな高千穂鉄道の廃線跡 (一部区間) を、昨年12月に徒歩で巡ってきました。
日豊本線の延岡駅からバスに揺られること約1時間。西臼杵郡日之影町の中心駅だった日之影温泉駅跡から歩き出します。
ちなみに延岡から日之影まで乗客は私1人でした。平日の昼だったとはいえ、これにはちょっとびっくりしましたね。
そこそこ大きな駅舎なので、廃止後の今もバス待合所や温泉施設として活用されています。
高千穂鉄道の廃車両を利用した小さなコテージ(?)もあり、高千穂観光と併せて泊まりに来ても面白そうですね。
五ヶ瀬川の激流が形作ったV字谷の中腹にへばりつくような日之影の集落。
ここから東 (延岡方面) に向けて歩いていきます。
渓谷美を堪能しつつ4kmほど歩くと、橋の上から高千穂鉄道の路盤を見ることができるポイントがありました。
ここから少し進むと、日之影温泉からみて最初の駅・吾味駅に到着です。
駅のすぐ真裏を五ヶ瀬川が流れるロケーション。かつてレールが引かれていた路盤は、道路に転用されています。
駅舎内に保存されていた廃止当時の時刻表。ひときわ目を引くのが延岡駅での乗り換え列車欄の『京都行き』ですね。
当時はまだ運行していたんですよね、寝台特急彗星。
吾味駅跡から少し進むと、ほどなくして大きな赤い鉄橋が見えてきました。正式名称は『第3五ヶ瀬川橋梁』らしい。廃線後は遊歩道として活用されています。
一方で、右のように当時のレールが残されたままの遊歩道区間もかなりあるようです。
2つ目の駅・日向八戸駅跡に到着。
駅裏に公民館が併設されていますが、ホームや路盤の保存状況は前の吾味駅に似ていますね。
途中で川沿いの県道を離れて山の手に寄ってみると、滝がありました。
小規模ながら美しい滝ですね……魚オタの癖で池に魚影を探してみるも、残念ながら何も見えず。
現役の駅舎と言われても納得してしまいそうな見事な保存状態。こういったローカル線では、壁掛け型の駅名標が割と珍しかったりしますしね。
ホーム全景と、自立式駅名標。
真ん中のイラストが駅ごとに違うって面白いですよね。JR九州の駅名標イラスト意識でデザインされたんですかね?
日之影町と延岡市の境を結ぶ槙峰大橋と、五ヶ瀬川の渓流。その間にレールが伸びています。
個人的にはこの旅で見た中で一番好きな風景ですね。
延岡市に突入。途中、川の対岸に亀ヶ崎駅跡を見ることができます。駅名標の枠とホームは辛うじて残されていますが、その他の鉄道設備はなさそうですね…
次の駅に着く前に五ヶ瀬川の河原に降り、干支大橋をバックに撮影。
槇峰や亀ヶ崎周辺は岩礁が多かったですが、ここは砂の河原です。こうして見ると五ヶ瀬川ってかなりバラエティに富んだ流れ方してますよね。
5駅目、早日渡駅跡。右の駅名標は何故か町の集会所のようなところに貼り付けてありました。枠ごと倒れでもしたのかな?
上崎駅跡。隣の早日渡駅からは約5kmあり、徒歩で1時間ちょっとかかりました……しんどい。
ここも駅の保存状態は悪くないです。路盤は農道に転用されています。
上崎 - 川水流間は台風による被害が特に多かったようで、今でも崩落したまま放置された崖や橋などを見ることができます。
旧東臼杵郡北方町 (現 延岡市北方町) の中心・川水流駅跡に到着して行程は終了。
高千穂鉄道の営業キロでは日之影温泉から川水流まで20.5kmですが、軽く3〜40kmは歩いた気がする……
読了ありがとうございました。