なまずのねどこ

ちょっとオタク寄りな旅の記録。B級スポットとか県境とか駅とか魚捕りとか。常にどこかに出かけていたい負け組大学生。

最南端の島へ 石垣・波照間紀行 1日目


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2月の半ば。

ピーチで比較的安く航空券が買えたので、石垣島に行ってきました。

人生初、行き当たりばったりの八重山旅。果たしてどうなることやら。4回に分けて旅模様をお伝えします。

 

朝4時前に起床。

残業明けの体に鞭を打ち、未明の首都高を東へ急ぐこと2時間。新空港道のゲートを抜けると、いつの間にか周りは空の街。

 

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貧乏学生だった頃、羽田発着のJALANAに乗る金がなく、東京に飛行機で行く際はいつも成田ばかり使っていました。染み付いた貧乏性はあの頃からあまり変わらず、今回も懲りずに早朝のLCCに乗り込むわけですが、そんな成田空港も車で来るのは初めて。

張り切って駐車場まで予約してみたはいいものの、2月という最閑散期の平日未明に予約が要るほどの需要があるはずもなし。予約サービス料という名のショバ代で無駄に懐を寒くした、哀れな男がそこにいました。

 

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さて、チェックインや預け荷物、保安検査の手続きをパパッと済ませ、見慣れたピンクの機体に搭乗。

 


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景色を楽しもうと窓際席を予約していましたが、太平洋上は生憎の曇り空。とはいえ、雲の上に抜けるまでの間に筑波山や富士山の美しい山容をカメラに収めることができました。

 


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まどろみの中で4時間ほどのフライトを終え、新石垣空港に着陸。

なんと気温は25℃。夏日です。成田から同じ恰好だと汗ばむこと必至です。

離島にしてはかなり大きい部類の空港で、土産屋やフードコート、コンビニ等も完備。

レンタカーを借り、まずは国道沿いの八重山そば屋さんで空きっ腹を満たします。

 


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南国の草花に囲まれた素朴な店構え。

こういった隠れ家的な食事処は、「知る人ぞ知る名店」と「大ハズレ」の二極化する傾向にあるように思いますが、今回は幸い前者だったようです。4日間の滞在で何度も八重山そばを食べることとなりましたが、その中でここが一番美味しかったことは間違いありません。

 

英気を養ったところで、本日最初の釣り場、伊野田漁港に到着。

沖縄県第3の面積を誇り、人口も多い石垣島ですが、珊瑚礁に囲まれた遠浅な海岸が延々と続くため、堤防で釣りができるポイントは意外なほど少ないです。

持参した生イキくん(オキアミ)を餌に釣り糸を垂らします。

この旅の間に最低30種、あわよくば50種のお魚と出会いたいところです。

 

堤防の先端から真下に胴突き仕掛けを落とすと、すぐさま魚信!

記念すべき石垣島1尾目は…

 

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(1)アミメフエダイ

石垣島での通称は「アメリカ」。

星条旗を思わせる特徴的な模様がその由来ですが、そう見えるかどうかは見る人の感性に委ねられそうです…「星」要素がないですね。

とはいえこの唯一無二の見た目。南の島ならではの面白い魚です。

 


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(2)クロハギ、(3)キンセンイシモチ、(4)オキフエダイ(5)ハタタテダイ

1年で海水温の最も低い2月半ば、しかも昼下がりの微妙な時間帯ながら、トントン拍子に魚種を追加していきます。

さすが石垣島

 

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(6)ヒブダイ

鹿児島に住んでいた頃にもよく釣れた魚です。

ブダイ類は小さくてもそれなりに引くので楽しいですね。

 


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(7)ヒトスジタマガシラ、(8)ヨスジフエダイを追加した後、アタリが少なくなってきたので見切りをつけて撤収。

 

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次にやってきたのは、石垣島北端に近い船越漁港。

雨の後だったためか港内は濁っていますが、長閑でおおらかな雰囲気の沖縄らしい漁港です。

 

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ここでの1匹目は(9)ウメイロモドキ

毎日のように魚図鑑をめくっていた子供の頃、その美しさに衝撃を受けました。以来ずっと釣ってみたかった憧れの魚です。均整のとれた体型に蒼と黄色の鱗をまとい、朱色のアイシャドウまで施した姿は、まさしく自然の作り出した芸術。シャッターを切るのも忘れ、感激でしばし見入ってしまいました。

ただ、この漁港には夥しい数のウメイロモドキと、近似種ユメウメイロの群れが居着いているようで、適当に仕掛けを入れるだけで連チャンで掛かってきます。さっきまであんなに感動していたくせに、ここまで簡単に釣れまくるとつい「またか…」の一言が口をついて出てしまいます。人間とはつくづく身勝手なものです。

 


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こちらが(10)ユメウメイロ。体高がやや高く、頭部背面の鱗の並び方や臀鰭の軟条数(ウメイロモドキ12、ユメウメイロ11)にも違いがありますが、言われなければまず気付けないほどのそっくりさんです。

左の個体は最初ウメイロモドキかと思っていましたが、臀鰭軟条数が11に見えることからユメウメイロと判断しました。

 

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他には(11)ロクセンフエダイ、先ほどの漁港でも釣ったヒブダイやクロハギを追加。あっという間に10目釣り達成です。

 

だんだん潮が引いてアタリも遠のいてきたので、夕マズメを前にして釣りに見切りをつけ、ガサガサに路線変更。

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南西諸島で規模の大きい川の河口域にはマングローブが生い茂り、南方系のハゼ類をはじめとする数多くの汽水魚ハビタットとなっていることは、魚ジャンキーにとっては周知の事実。

そんな夢のようなフィールドでの採集ですが、底は一面の砂泥で思ったより障害物が少なく、捕まえたと思ってもマングローブの根に逃げ込まれ、なかなか思うように魚種稼ぎができません。

こんなはずでは……慣れないフィールドって怖いですね。

それでも、こんな魚たちと出会えました。

 

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(12)ツムギハゼ

テトロドトキシン(フグ毒)を有するひねくれハゼ。これだけでも強烈な個性ですが、玉虫色ともいうべき美しい眼もチャームポイント。毒のお陰で悠然と構えていられるのか動きが鈍く、川の中では割と目立つ白黒の配色なので、居さえすれば簡単に捕まえられます。

 


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(13)インコハゼ、(14)スナゴハゼ

これらも比較的多く網に入った汽水性ハゼ。マングローブ林の片隅のごく浅い水たまりを漁るとひょっこり現れたりしました。

 


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(15)ニセクロホシフエダイ(16)アマミイシモチ

苦戦しつつようやく遊泳系も確保。

 

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(17)セスジタカサゴイシモチ

観賞魚として知られるグラスフィッシュの仲間で、そちらほどではないにせよ透明感のある見た目をしています。著しく側扁した(≒横に平べったい)体型をしていて、私が抱いた第一印象は「なんかギラギラしたタナゴっぽいの」。石垣島にはタナゴに喩えられる魚が別にいますが、「なんちゃってタナゴ感」ではこちらも割と良い線行ってるのではないかと思います。

 


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(18)ミナミヒメハゼ、(19)クロコハゼ

ハゼ類2種を追加したところで、空も暗くなってきたので撤収します。

 

再び腹も減った頃なので、石垣市街に移動し、宿のチェックインを済ませたところで店探し。


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通りすがりで見つけた海鮮居酒屋「魚礁(パヤオ)」に突撃し、宴と相成りました。大漁旗の飾られた素敵な空間で、魚料理を堪能しました。

一押しは地魚を塩水で蒸し煮にした「マース煮」。磯臭さのある魚ほど美味しくなるそうです。私はこの後も運転があるのでさんぴん茶で済ませましたが、絵面が完全に炭酸の抜け切ったビールですね。

 

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その後、もう一押しとばかりに石垣港の岸壁で夜釣り。車横付けで釣りができる好ポイントです。

 


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1時間ほどの短時間だったこともあり、釣果は(20)アヤメエビス、(21)ウケグチイットウダイのみでしたが、ここで20目達成です。

 

日頃の睡眠不足と長旅の疲れもあり、宿で泥のように眠りにつきました。