前回の続きです。
7時前に起床。車中泊なので体はバキバキですが、ほどよい気温のおかげでそれなりにぐっすり寝られました。
寝ぼけまなこのまま石垣港フェリーターミナルへ。
今日はいよいよ日本最南端の有人島・波照間島の地へ踏み出します。
乗船手続きを済ませ、ターミナル内を散策。お土産や食品などの売店に加え、同じ石垣市に属する尖閣諸島についての展示スペースまであり、暇つぶしには事欠きません。
乗り場の手前には有名な具志堅用高の像がありますが、おばちゃんズが記念撮影のために陣取っていて撮りそびれました。
波照間島までは高速船「ぱいじま2」で。約60分の道のりと聞いていましたが、海がやや荒れていたせいか、90分ほどかかりました。
この波照間航路、旅好きの間では「ゲ□船」として有名だそう。石垣港界隈を抜けると基本的に遮るもののない外洋を航行することになりますし、船体もフェリーと比べるとかなり小さいので、さもありなんという感じ。海況の悪くなりがちな真冬にそのような異名をとる航路に乗るということで、戦々恐々としながらの乗船となりました。幸い酔うところまでは行かず、頭を席にぴったり着けてうとうとしていれば問題なく凌げたのですが、船内で呻き声が聞こえだした時はちょっと覚悟を決めましたね。
さて、波照間島に着くやいなや桟橋で釣りを開始。港の外側は広大なリーフとなっており、一見穏やかな情景ですが、うずたかく積まれたテトラから、荒天時の波浪の凄まじさを窺い知ることができます。
まずは胴突き仕掛けで(40)ヤライイシモチを手堅く確保。テトラ周りを探ると、(41)メギスがひょいと飛び出してきます。
サバの切り身をつけて放置していたブッコミに突如強烈なアタリ!
根に潜ろうとする引きを竿の剛性でいなし、浮いてきたところをゴリ巻きしてタモ網に誘導します。
上がってきたのは45cmのクロハギ (トカジャー)。胴突きで釣れる小型個体と比較すると体色がかなり異なり、青みがかったまだら模様が美しいです。
それにしても、根魚とも青物とも異なる、独特の叩くような強い引き。沖縄屈指の人気釣魚として愛されているのも頷けます。
胴突きで(42)ミナミイスズミ、(43)ハゲブダイ、(44)トゲチョウチョウウオを追加し、一旦港を後にします。観光もしたいですしね。
足を確保すべく港の近くにあるレンタサイクル屋に赴きますが、どうやら船が着いた直後のみ営業するタイプの店の模様。ご丁寧に、営業時間外の電話には出ない旨の貼り紙までしてあるという徹底ぶり。
潔く自分の足で最南端の地を踏み締めろという神のお告げに違いない、と前向きに捉えて先に進みましょう。徒歩で島内を巡ることとします。
サトウキビ畑を突っ切って真っ直ぐ延びる轍、無造作に積まれたサンゴの石垣。南国ならではの心洗われる風景が続きます。
お昼時も近づき、そろそろ飯にしようとGoogleマップで店を探しますが、閑散期だからか、そのどれもが「都合により臨時休業」の札をかけていました。商店の類もいくつかありますが、午前と夕方しか営業していなかったり、何故か営業時間中にもかかわらず店じまいを終えていたりと、まともに開いている店を見つけられず、気づけば完全に昼食難民となってしまいました。
俺もこんなマインドで仕事ができたらどんなに楽だろうかと、若干イライラが隠せなくなってきますが、ないものはない。仕方ありません。波照間島を巡られる皆さん、ひもじい思いをしないよう、食糧は必ず持って行きましょう。
道中にはイシガケチョウやスジグロカバマダラなど、南国の蝶が乱舞していました。とても2月とは思えない光景ですね。ちょっとだけカタツムリも探してみましたが、沖縄の定番種であるオキナワウスカワマイマイくらいしか見当たりませんでした。
高速船の発着する波照間港は島の北側にありますが、さほど大きくはない島なので、港から約3km、時間にして1時間弱歩くと最南端の碑に到達します。
草原の向こうに断崖絶壁の磯場が広がり、最果ての地に相応しい絶景です。この景色を見ることができた喜びに比べれば、先ほどのハプニングなどどうでもよくなってしまいました。
最南端の碑から海岸沿いを西に進んでいくと、広大な牧草地で草を食むたくさんのヤギや牛と出会うことができます。立派な角を持っている個体はちょっと怖いですが、ちゃんと紐で繋がれているのでご安心を。
なんの変哲もない自販機?いいえ、日本最南端の自販機です。
周りに民家も何もない、田んぼだらけの一角にぽつんと立っているので遠くからでも目立ちます。延々と歩いた後のシークヮーサーファンタは格別です。
8kmほど歩いて、波照間港へ戻ってきました。先ほどは曇り気味だった空も、気づけば青空に。
帰りの船を待つ間に少しだけ竿を出し…
最後っ屁で(45)ツキノワブダイと(46)フウライチョウチョウウオを追加しました。
ありがとう波照間島。次に来る時は、ちゃんと装備を揃えて磯で大物を狙いたいですね。
帰りの道中でもやっぱり船内でリバースしている方はおられました。あな、恐ろしや…
石垣島に到着後、トカジャーをヤマトの営業所に持ち込んでクール便で送ります。
宿のチェックインを済ませ、「海人居酒屋 源」で今宵も宴。
マース煮に海鮮サラダに肉寿司にと、石垣島最終日の晩餐に相応しい素晴らしいお店でした。
たらふく食べてもまだ20時くらいだったので、少し車を走らせて夜磯採集に興じることとしました。
沖縄らしい遠浅の磯なので、凹凸のはっきりしたタイドプールは少ないですが、水の少なくなった澪筋にいろいろな魚が泳いでいました。
遊泳系の魚はだいたいこんなメンツ。
左上から(47)ギンユゴイ、(48)ネズスズメダイ、(49)イチモンスズメダイ、(50)イッテンフエダイ、(51)ムギイワシ、(52)フウライボラ。
ギンユゴイとムギイワシは、本州の磯でも定番の魚ですね。昼でも夜でも泳ぎ回っています。
底生魚。
左上から(53)タナバタウオ、(54)ダンダラトラギス、(55)ホホグロギンポ、(56)ナメラハゼ、(57)ロウソクギンポ、(58)ハタタテギンポ。
ギンポ系がよく捕れるのは本州と変わりませんが、ナベカやヘビギンポの収まっているニッチがそのまま南方系の種に置き換わっている感じです。
(59)ヨコシマタマガシラ。
ハリセンボンを追いかけていたら変わった斑紋の魚が目に入ったので、そちらにターゲットを変更。網に入ったのがこの子でした。
ウツボ類も結構な個体数がいて、近寄るとものすごい勢いで体をくねらせ、磯の上を這って逃げていきます。サンゴ礁由来のザラザラの岩ばかりなので、お肌が心配になるレベルです。
満足したので、潮が満ちてくる前に1時間ほどで切り上げました。
宿に戻り、寝る前にコンビニで買ったラフテーをつまみに晩酌。運転の関係もあり、石垣に来てから酒を我慢していたので、骨身に染みる2缶となりました。