なまずのねどこ

ちょっとオタク寄りな旅の記録。B級スポットとか県境とか廃線めぐりとか魚捕りとか。常にどこかに出かけていたいしがない社会人。

白露の北関東プチ遠征 その2 栃木編

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122号線を渡良瀬川沿いに日光方面へ進み、栃木県に入りました。

那須地方に着いた後は、昨年何度も通ったお気に入りの川でガサガサ。増水気味で、ちょっとやりにくそうな感じです。

 

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ヤマメとタナゴ(マタナゴ)が同時に網で捕れたこともある奥深くも摩訶不思議な川ですが、この2種は那須ではそう珍しい組み合わせではありません。

このような河川では、冷涼な流水環境を好むカワシンジュガイがタナゴの産卵母貝となっているようです。また、カワシンジュガイの幼生(グロキディウム)は、生育の過程でヤマメをはじめとするサケ科魚類の鰓に寄生する習性があります。

すなわち、ヤマメがいなくなればカワシンジュガイが、カワシンジュガイがいなくなればタナゴが個体群を維持できないという二重の依存関係が成り立っているわけです。

 


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カワムツやドジョウといったお馴染みのメンツに加え、

 

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20cmはあろうかという立派なギバチも網に入り、環境の良さを実感します。

 

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底砂を浚うようにして網に入れると、カワシンジュガイが捕れました。

非常に長寿な生き物で、寿命は50年とも100年とも言われています。2022年に特定第二種国内希少野生動植物種に指定され、販売や頒布、またそれらを目的とした捕獲が禁止されています。

 

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今年生まれの当歳魚ではありますが、なんとかタナゴの生息も確認できました。すらっとした美しいスタイルをしています。

春先の繁殖期を迎えると、雄は金属光沢を伴う青紫色の美しい婚姻色を纏います。

 

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流れのゆるいワンド部分では、アカヒレタビラの幼魚が採集できました。この川ではタナゴともどもカワシンジュガイを産卵母貝としているものと思われますが、タナゴの方が流れの速い箇所を好むようで、棲み分けは比較的明確になされています。

 


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同じワンドで、水生昆虫の王様・タガメもご登場。

ここでは2度目の確認です。

獲物を捉えて離さない巨大な鎌状の前腕、突起物の少ないフラットなフォルム、狡猾そうな三角形の眼。捕食者としてあまりに洗練された容姿を持つタガメは、生き物好きの少年、青年および中年の永遠の憧れ。

那須野が原が彼らの安息の地であり続けられることを願っています。

 

翌々日、那珂川水系の渓流を開拓しに行きました。

栃木県内では9/20から渓流釣りができなくなる(漁業調整規則でヤマメとイワナの採捕が禁じられている期間)ので、有終の尾を飾りたいところですね。

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いい感じに笹濁り。釣れそうな予感がします。

流心のエグレにミミズを投入するやいなや、1投目で早くもアタリが。

 

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貴殿でしたか。

流れに乗って割と良い引きを見せてくれたので、少し期待してしまいました。

針を少し飲み込んでいたので、食用にお持ち帰りすることとします。清流のウグイは美味いといいますからね。多摩川のマルタはこの世のものとは思えないケミカルなお味でしたが…

 


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こんな調子でカワムツとアブラハヤも追加し、段々と雑魚釣りの様相を呈してきました。結構上流に来たつもりだったんですが。

 

しまいにはこんなけったいな生き物まで登場する始末。

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根掛かりを外した際、ハリスに絡まっていたツタ状の物体。

そう、ハリガネムシです。

宿主のカマキリを水辺に誘導し、生きたまま腹を突き破って出てくる、あの子です。

なかなかロックな生き様をしていると思いますし、嫌いではないのですが、心の準備のないままいきなり登場されるとちょっとギョッとしてしまいますね。

 

ウグイとアブラハヤの猛攻に耐え続けること2時間。

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ようやく本命のヤマメがヒットし、なんとか生息確認ができました。10cmほどのベビーサイズでしたが。

この時期にしてはかなり小さめの印象です。

 

栃木での釣りはこの辺で切り上げ。

午後は八溝山の峠道を越え、茨城県側に移動しました。

白露の北関東プチ遠征 その1 群馬編

先日の3連休は栃木県那須を拠点にして、北関東各県で渓流釣りを楽しんできました。


連休初日は5時起きの甲斐なく、八王子JCTの渋滞にはまってしまいました。関越道につながる鶴ヶ島JCTも詰まっていたので、圏央鶴ヶ島ICで一旦高速を降り、ガソリンを満タンにしてからまずは群馬県を目指しました。

 

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途中、埼玉県最北端の上里SAで休憩。特にこれといった特徴のない普通のSAですが、早朝にもかかわらずフードコートは満員御礼でした。


9時過ぎには渡良瀬川の支流に到着し、林道脇のスペースに停めて入渓。

 

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全体的に浅く開けた流れで、どちらかといえばフライフィッシング向きの川だと思いました。とはいえ時たま瀬を遡る魚影も見え、根気よく粘ればボウズは回避できそうな感じです。

 

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蛇行した部分に形成される淵にポイントを見出し、ミミズを流していきます。

それにしても、透明度が高く清らかな流れです。水が綺麗すぎると魚からもこちらの姿が丸見えになるので、釣果を上げるうえでは芳しくないのですが、渓流釣りの真髄は釣れた魚の数やサイズに一喜一憂することに非ず。人間社会のしがらみや競い合いを一旦忘れ、美しい川で美しい1尾に出会うことだけを考えている時にこそ、この上ない幸せを感じます。

 

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そんなことを考えながら、白泡が途切れる教科書通りのポイントを攻めると、ふっくらとした厚みのある天然ヤマメが躍り出ました。

大きさは18cmほど。側線の周りに薄く紅を差したような、なかなかの上州美人です。

 

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さらに遡行を続けると、大岩の脇の落ち込みで、黒っぽく優しい顔つきの23cmほどのニッコウイワナが釣れました。

この時期の渓流魚は繁殖期を控えて二次性徴が出てくるので、外観の雰囲気でなんとなく性別がわかります。腹を割いて答え合わせをしたところ、予想の通りメスでした。

背鰭が大きく欠けていたので、パッと見放流魚っぽく見えました。とはいえ漁協による放流のない川で、尾鰭も綺麗なので、怪我しただけの野生魚かもしれません。


ヤマメとイワナの顔を見ることができたので、実釣2時間ほどで退渓。

寄り道にしては良い釣りができ、ウキウキ気分で目的地の那須へと車を走らせました。

奥多摩の碧い渓と紅いヤマメ

9月に入り、渓流釣りシーズンもいよいよ終盤。

新たなエリアを開拓すべく、奥多摩エリアの渓流を探索してきました。

 

圏央道を日の出ICで降り、青梅の市街地を過ぎ、多摩川が刻んだ深い谷に沿って車を走らせます。

7時頃に目的の渓に到着。睡眠不足の体にウイダーinゼリーを注入後、やおら入渓の準備を始めました。

 

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先日の台風の影響か、谷底の流れにはまだかなり濁りが残っています。

釣りになりそうもないので、支流の小渓に場所を移します。

 

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林道から谷底に降りると、若干の笹濁りが入りつつも、碧く澄んだ流れ。

ミミズとブドウ虫を交互に流すと、つつくようなアタリがありますが、なかなか針掛かりまで至りません。

魚影は薄くないようですが、やはりアクセス抜群な東京都内の渓、相当にスレているようです。

 

高巻きを挟みつつ遡行を続けていくと、岩の影から走り出す小ヤマメと思しき魚影が見えました。どうやらこちらの気配には気づいていない様子。

しめしめと思いつつ、試しに針のついていないミミズを投げ込んだところ…彼女はそれを一度咥え、あろうことかペッ!と吐き出したのです。

人の恐ろしさを学習しきった近郊の渓魚は一筋縄ではいきません。

 

ギリギリ這い上がれなさそうな感じの小滝の淵で、ダメだったらまた高巻きやなぁなどと考えつつ、白泡の際に仕掛けを流したその時。

 

突如として滝の方に逆走するライン!すかさずアワセを入れ、魚との糸電話を楽しみつつ、急流に入られないよういなします。

なかなかの大物。スレた川で折角掴んだチャンス、バラさないよう慎重にネットイン。

 

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首都東京の渓で手にした初の獲物は、秋色に染まった27cmの雄ヤマメでした。

 

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下顎が曲がり始めており、なかなかの男前。渓流の女王という異名のもつ艶麗な響きからは掛け離れた、猛々しく精悍な顔つきです。

 

もともと渋い状況でボウズも覚悟していただけに、起死回生の1尾となりました。

日も昇ってきたので退渓し、ドライブを楽しむこととします。

 

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奥多摩湖

関東有数の規模を持つダム湖で、東京の水瓶。その湖面は山梨県域にまで達し、数多の支流を集めて碧い水を湛えています。

 


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国道沿いの「鳩の巣釜めし」で昼食。

看板メニューの釜めしも食欲をそそりましたが、今回は折角なのでヤマメの塩焼きを頼みました。

奥多摩やまめというご当地のブランドらしいです。淡白な白身ながら身にしっかりとした甘みがあるヤマメは、シンプルな味付けの塩焼きがぴったりですね。

 

腹拵えの後は平野部に降り、ガサガサを楽しみました。

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多摩地域の西側は、両岸にブッシュの生い茂った良好な環境の支流がまだまだ残されていますね。

 


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お馴染みのカワムツがこれでもかと網に入ってきます。

東日本では外来種なのですが、どこの水系に行っても目にするようになってしまいました。多摩川水系では、緩い流れを好むオイカワと結構明瞭に棲み分けている印象があります。

 

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カワヨシノボリ

この子も本来富士川水系より西側にしか分布していなかった魚です。

 

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ブッシュを砂ごと掻き分けて網に誘導すると、立派なヒガシシマドジョウが入りました。

ニシシマやオオシマと比べると小さめの個体が多いので、10cmはあろうかという大型個体が捕れるとオオッとなります。

 

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写真では伝わりにくいですが、テナガエビと見紛うような大型のスジエビ

ガサガサでの獲物は基本的に全リリースがポリシーですが、デカいエビが網に入ると持って帰って唐揚げにしたい衝動に駆られます。

 


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ここで本命、ギバチが登場。

比較的自然度の高い清流を好むナマズの仲間で、私の住む神奈川県では風前の灯といえるほど減ってしまった魚です。

くりくりお目々に8本の長いヒゲ。癒し系そのものですが、背鰭と胸鰭の鋭い棘にはしっかり毒を忍ばせています。

 

明るいうちに現地を出て家路につきます。

心配していた八王子JCTの渋滞には巻き込まれず、すんなり帰宅できました。

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秋色のヤマメはその日のうちにアクアパッツァに調理され、私の胃袋に収まりました。

甲州納涼渓流巡り

希代のノロノロ台風こと台風10号

せっかくの夏の予定が台無し、という方もさぞ多かったことでしょう。かくいう私もその一人。

さて、その憎っくき台風が襲来する直前の週末、山梨県に渓流釣りに行って参りましたので、今回はその模様をお届けします。

 

朝4時半に起床。

高速に乗ってからウェーダーを忘れたことに気付き、急いで引き返すというハプニングもありながらも、なんとか渋滞に嵌まる前に八王子JCTを抜け、山梨方面へ。

 

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談合坂SAで休憩を挟みつつ、8時頃には目的の富士川水系の渓で釣り始めました。

 

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前日の晩にポツポツと降っていたせいか、川は笹濁り。先行者もいないようで、なかなかの好条件に期待が高まります。

ミミズをちょん掛けして仕掛けを打ち込むこと数回、写真左側の白泡の脇で早速ヒット!増水気味で流れが速いので、スリリングなやりとりが楽しめました。

 

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姿を現したのは、黄色味が強い綺麗なニッコウイワナ。塩焼きに丁度いいサイズ感でしたが、今日は川をはしごして一日中渓流釣りをする予定なので、オールリリースです。

 

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しばらく遡行し、もう1尾イワナを追加。こちらは先程よりも良いサイズでした。

よく見ると脂鰭がちょん切れています。個体数調査のための標識魚でしょうね。

 

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さらに上流へと歩を進めます。

大岩の陰で気配を隠しながら深みにミミズを流し込むと、手首まで伝わる強烈なアタリ!

少しずつ寄せてくると、尺近い大物!反転した時のギラリと光る質感から、アマゴと分かりました。

あと1m寄せれば、というところで痛恨のラインブレイク。思わずその場にへたり込みます。

私の胸の内を映し出すかのように、空からは小雨がぱらついてきました。

 

大物は逃したが、本降りになる前に愛しきアマゴの顔を見ておきたい。

その思いが通じたのか、瀬に流した仕掛けにヒット。

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小ぶりながら、すらりとして色白な、なかなかの別嬪アマゴでした(男の娘かもしれませんが)。この辺りは花崗岩系の山なので白っぽい渓が多く、それか魚体の色にも反映されているのかもしれません。

 

雨も本降りになってきたので、一旦釣りをやめて移動。悩んだ末、分水嶺を越えて相模川水系へ向かうことに決定。

この判断が吉と出たのか、山を越えると青空が見えてきました。

 

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堰堤の下のたまりを、リールを使ったウキ流し釣りで攻めます。

早速子ヤマメかアブラハヤと思われる小さめのアタリがありますが、針が大きすぎるのかなかなか乗りません。

辛抱強く流し続けると、ヒット。さほど大きくはないサイズですので、そのまま抜き上げ。

 

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目論見通り、ヤマメが釣れてくれました。体高が高く、コンディションの良い個体です。

山梨県は西側が富士川水系(アマゴの分布域)、東側が相模川水系(ヤマメの分布域)となっているので、山を一つ越えるだけでアマゴとヤマメの両方を狙うことができるのです。

 

お昼時になり、アタリがなくなってきたので、一旦観光に切り替えることにしました。

 


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前からゆるキャン△スタンプラリーのステッカーを集めていたので、今回は身延町を中心に対象施設を巡り、4種類を確保しました。

集めたとて何か特典があるわけではありませんが、絵柄が可愛いのがいいですね。

なでしこ達が通う高校が身延町にあるという設定なので、身延町に対象スポットが集まっていますが、比較的離れた山梨市や富士吉田市などにもありますので、ドライブがてら探してみてはいかがでしょうか。

 

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身延といえばみのぶまんじゅう。

薄皮の下に粒餡がたっぷり入って1つ70円の低価格。お土産屋さんでも扱っていますが、結構人気ですぐに売り切れるようですので、確実に手に入れたいなら身延駅前の栄昇堂で買うのがおすすめです。

片手で食べられ、少ない量で満足感が得られるので、ドライブのお供にももってこい。

 

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夕マズメは身延町に近い県南部の渓流で迎えることにしました。

自然度の高い渓流なので期待しましたが、相当スレているのか、最後まで魚信は得られず。

やっぱり渓流釣りは朝ですね。初訪問のポイントばかりなので、仕方ないといえば仕方ないのですが、今回も尻すぼみの釣行となりました。

 

生物相は至って豊富なようで、釣り上がりながらの片手間でもいろいろな生き物が見られました。

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ハコネマイマイ。箱根外輪山や富士山を中心とするエリアに分布するカタツムリです。珍しい種類ではないと思いますが、分布域が狭いので出会う機会も少なく、今回が初遭遇です。

 


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ヤマトシジミや綺麗な縞模様のサルノコシカケ類もカメラに収め、豊かな自然を堪能して退渓。

新東名から箱根峠を抜けて家路につきました。

【過去旅行記】晩夏の北海道お魚行脚2022 8日目(帯広→中富良野→千歳)

2022/9/3(土)

遠征最終日。

 

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絶景の狩勝峠を抜け、5日ぶりに道央に戻ってきました。

この日はとある魚を捕獲するため、Googleマップで見つけた良さげな川をひたすら巡り、日没までガサガサに明け暮れる計画でした。

 

しかし、運命の出会いは意外にもあっさりと訪れます。

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山間部を蛇行しながらながる清らかな渓流。水深の浅い平瀬が多く、所々にブッシュもあり、上流域にしてはなかなかにガサガサ向きの川です。

 

水没した河畔の草むらに網を構え、足で追い込むと…

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夢にまで見たロマンの魚、イトウ。

遂に、遂に、憧れのイトウが網に入ってくれました。

まだパーマークが色濃く残る6〜7cm程度の稚魚ですが、全身に散りばめられた黒点、円筒形の長い頭は紛れもなくイトウそのもの。普段は流れの緩い下流域やダム湖などに生息するイトウも、初夏になると川を遡って産卵します。孵化して少し育った稚魚は、こうしてガサガサで狙うこともできるのです。

バットに水を張って撮影し、弱らないうちに急いでリリースした後は、感極まってしばらく放心状態に陥っていました。

 

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カジカでも狙おうかと石をひっくり返していくと、塩焼きサイズのエゾイワナが飛び出してきました。

こちらも北海道ならではの魅力的な魚です。

 

最終日になんとか有終の美を飾ることができました。

結局30分に満たない採集時間でしたが、憧れの魚との出会いを果たした今、これ以上は何も望むまい。今日はもうウェーダーを脱ぎ、潔く観光モードに切り替えます。

 


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かの有名な中富良野のファーム富田。

目玉のラベンダーはすでに散ってしまっている時期ですが、十勝岳連峰を背後に控えた広大な花畑は見応え十分。

お土産にラベンダーのアロマスプレーを買って帰りました。

 

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富良野界隈を運転していると、車窓に黄色く染まった丘が見えました。気になって行ってみると、黄色の正体は一面の向日葵畑。

ちょうど見頃を迎えていました。

 


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その後は千歳まで戻ってレンタカーを返し、フライトまでの時間を潰しました。

最後の晩餐に入った新千歳空港内の白樺山荘は、ゆで卵おかわりし放題という豪胆さ。定番の味噌バターコーンラーメンで北海道の旅を締めくくります。

腹を満たした後は、雪ミクミュージアムを見学したりしていました。温泉もありますし、暇潰しには事欠きませんね。複合商業施設として完成されすぎていて、もはや空港にいることを忘れそうになります。

 

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成田までは1時間半ほどのフライト。旅の終わりはいつだって名残惜しいものですが、機内で写真を整理しながら余韻に浸るこの時間、決して嫌いじゃありません。

北の大地でまた、心躍る魚との出会いを果たせることを願って。

【過去旅行記】晩夏の北海道お魚行脚2022 7日目(紋別→遠軽→阿寒湖→帯広)

2022/9/2(金)

この日は魚パートはなし。ほぼ観光に徹しました。

 

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窓から降り注ぐ朝の陽射しで目を覚ましました。

何も遮るもののない洋上の日の出。茫洋たるオホーツク海の水平線が、この地が北海道の東の果てに近いことを物語っています。

 

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私は旅先で時間を有効活用するため、朝食を摂らずに宿を出ることが多いのですが、この日は食事が評判の宿でしたので、珍しく朝食つきのプランにしました。

5,000円そこそこの宿泊費でバイキングつき。ジンギスカンやホタテなど、北海道名物をたらふく堪能できました。

 

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紋別のシンボル、巨大なカニの爪のオブジェ。港の片隅にぽつんと置かれていてなかなかシュールです。

 

紋別を出発して40kmほど南下し、遠軽へ。

遠軽という町名は、町の中心部からほど近い場所にある「瞰望岩」のアイヌ語名、インカルシに由来。瞰望岩には頂上近くまで道路が通っており、湧別川中流の盆地に広がる遠軽町街が一望できます。

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その麓にある遠軽町郷土館に、廃線の資料目当てで訪問。


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遠軽から紋別を経由して名寄までを結んでいた、名寄本線ゆかりの品々が所狭しと並んでいます。

国鉄民営化後の1989年に廃止となりました。「本線」を名乗るJR線が全線廃止された唯一の事例でもあります。

 

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昼食は回転寿司「トリトン遠軽店で。北海道の誇るご当地回転寿司チェーンです。

味もさることながら、なんといってもネタがデカい。数皿で下手な海鮮丼より満足できるので、北海道で何を食べるか迷ったらとりあえずトリトン、というのもおすすめです。

 


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遠軽を満喫後は、再び郷土資料館をはしご。

かつてオホーツク地域の中心都市・北見と、十勝平野の池田を結んでいた三セク鉄道「ちほく高原鉄道」目当てです。今回訪問したのは訓子府と置戸の郷土資料館ですが、陸別の道の駅などにも駅名標が保存されています。

 

この日はこれ以上特に目的地もなかったので、そのまま宿泊地である帯広に行くこともできたのですが、日没まで時間があったので少し寄り道をすることにしました。

 

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足寄町から阿寒方面へ車を走らせていくと、ラクダの背のような特徴的な稜線が見えてきます。

左の丸みを帯びた山が日本百名山雌阿寒岳、右の円錐形の山が阿寒富士です。

 

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十勝国釧路国の境目だった足寄峠を越えると、程なくして阿寒湖に到着。

その名を全国に轟かせているのはマリモですが、日本で2つしかない、在来のヒメマスが生息する湖の1つでもあります。

背後に見えるのは雄阿寒岳。名が表すとおり、その山容からは雌阿寒岳より角張って男性的な印象を受けます。

 

日が暮れてから帯広に到着。

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帯広に来たのなら、本場の豚丼を食べずに帰るわけにはいきません。

特製ダレのコク深さに加え、炭火焼きされた豚肉の一枚一枚が肉厚で、大変ボリューミーな一杯でした。

【過去旅行記】晩夏の北海道お魚行脚2022 6日目(稚内→浜頓別→興部→紋別)

2022/9/1(木)

遠征中に月を跨ぎました。

稚内を後にし、オホーツク海沿いに南東へと進みます。

 

途中で見つけた湿原河川でガサガサ。

えげつない数のフクドジョウが網に入ってきますが、めげずに続けると…


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ひときわ細長いニョロニョロが。

尾鰭が黒みがかっているので、シベリアヤツメでしょうね。ヤツメの名の由来である7つの鰓孔もはっきり確認できます。

つぶらなお目々がチャーミングですね。

 


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稚内から80kmほど進んだ浜頓別町で、休憩がてら郷土資料館を訪問。

浜頓別はその昔、金の採掘で栄えたそうで、それに関する展示が数多くありました。その名残りで、現在も砂金の採掘体験が楽しめる公園なんかもあるそうです。

ゴールデンカムイの冒頭で砂金掘りをしていた場所もこの辺りなのかな?だとしたら胸熱ですね。

 


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ここでの目当ては興浜北線(こうひんほくせん)の資料。

興部と浜頓別をオホーツク海に沿って結ぶ「興浜線」計画の一端として、南側の興部〜雄武と北側の北見枝幸〜浜頓別が開通しましたが、全通することなく1985年に廃止されています。

 


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その後、枝幸町景勝地・千畳岩に立ち寄ったり、シマエナガサンデーを食べたりと観光要素も盛り込みつつ…

 

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この日のメインイベント、サケ釣りに挑戦します。

8月下旬〜9月頃になると、川を遡上するために接岸するサケ。それらを求めて、秋の北海道のサーフは連日太公望でお祭り騒ぎとなります。

サケが遡上する河口の周りは特に有望ポイントで、場所取りもなかなかシビアですが、昼間の微妙な時間帯だったこともあり、なんとか一人分のスペースは確保。

同行者を車で待たせてしまっているので、なるはやで方をつけたいところ。

 

ウキルアーという専用の仕掛けで挑みます。

文字通りウキの下にルアーをつけ、さらにフックにはエサをぶら下げるという奇天烈っぷり。本当に大丈夫なのか不安になりましたが、勧めてくれた稚内の釣具屋のおっちゃんの言葉を信じるしかありません。

ちなみに、エサはサバの切り身を使用しました。

 

根気よく投げ続けると、唇で触れるような微かなアタリが2〜3回ほどありました。

う〜ん、だいぶスレてるのかな?これだけの人数が連日押し寄せてれば無理もないか…

 

開始から1時間ほど経ったころ、着水した瞬間にウキが沈みました!

竿を大きく煽ってフッキング。

最初はそこそこ暴れられましたが、巻いてくると案外すんなり寄ってきます。

天下のサケといえどこんなもんか。波が打ち寄せるタイミングを見計らって砂浜にずり上げ、勝負あり!

 

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………૮๑ˊᯅˋ๑ა

調子に乗ってすみませんでした。

 

この巨ウグイが釣れて以降、アタリは全く来ず、北海道でサケを仕留めるという目標は次回の渡道に持ち越しとなりました。

次はちゃんと時間をとって朝マズメに来よう。ドライブ途中に立ち寄ってサクッと釣れるほど甘くはないですね。

 


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興部の漁港で小物釣りをしたところ、シモフリカジカの若魚が掛かりました。

大物はギスカジカと共に「なべこわし」と呼ばれ、安くて美味い大衆魚として親しまれています。「鍋をつついて壊してしまうほど美味い」というのが由来だとか。

北海道は海棲カジカ類の魚種が豊富なので、他にも色々と狙ってみたいですね。

その他の釣果はクロソイ、ガヤ、ウグイなど。北海道にいるかぎり、ガヤとウグイの呪縛からはなかなか逃れられませんね。

 

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この日は紋別のオーシャンビューのホテルに投宿。

明日はさらに南を目指します。