琵琶湖を中心に十幾種を擁するビワカワニナ亜属(Biwamelania)。その中でも特異的に流水環境に適応した分布様式をとるナカセコカワニナという小型の種がいます。
今回はそいつを求めて京都市街へ繰り出すお話です。物好きな同志二人が同行してくれました。8月22日の話です。
琵琶湖疏水に繋がるとある川へ。
夏の京都の川っていい雰囲気ですよね。川にかかる橋には涼みを求めて人々が集まり、写真を撮る観光客もちらほら。その人混みを掻い潜って川で貝を拾うのが我々のミッションです。
…。
街中で海パン履いて川に突撃するのは割と勇気が要りましたがなんとか狙いの貝は確保。
ナカセコカワニナ Semisulcospira (Biwamelania) nakasekoae。
カワニナ類の中では最も小型の種です。かわいい。
さらにはこんなものも。
カワニナ Semisulcospira libertinaの奇形(?)個体。縫合が深くくびれており特異な形状をしています。
人が多いこともあり早めに退散。
さて、目的の貝を確保して京都を後にした我々が次に向かったのは宇治川。
かなりの急流と水深で川に入ることはできませんが、陸から手を伸ばして採集。
ここにもヤツはいます。
宇治川のナカセコカワニナは疏水産と比べるとかなり太く殻長も大きいです(といっても2cm前後ですが…)。
殻表の縦肋や顆粒が明瞭な個体が多い点も疏水産との相違点。ちなみに模式産地は宇治川の方です。
産地の違いによってこれほど形態が異なってくるのも面白いですよね。