なまずのねどこ

ちょっとオタク寄りな旅の記録。B級スポットとか県境とか駅とか魚捕りとか。常にどこかに出かけていたい負け組大学生。

突貫!徳島カタツムリ紀行


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ふと唐突にカタツムリが捕りたくなり、関西空港に飛んだ。一路向かわんとした先は「徳島」。陸産貝類愛好家の間では聖地として知られる土地だ。

九州から四国へ渡る交通手段は限られてくるが、行先が徳島であれば福岡空港鹿児島空港からLCC関空に飛び、和歌山からフェリーで渡るのが一番安くて手っ取り早いだろう。私は南海電鉄の各駅から和歌山港までの乗車券と和歌山~徳島間の乗船券がセットになった「とくしま好きっぷ2000」を使って行くことにした。難波からでも関空からでもたった2000円で徳島に渡れるお得な切符だ。

 

GW期間が既に過ぎていたのもあり、徳島行きの南海フェリーは人もまばらだった。

ちなみに船内には机や充電用コンセント、ひいてはWi-Fiまで完備されているので2時間ちょっとの船旅を快適に過ごせる。至れり尽くせりである。

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徳島の市街からは牟岐線の列車とバスを乗り継いでこの日泊まる山奥の宿まで向かった。

余談だが徳島県は日本で唯一「電車が存在しない県」である。駅にいる列車も気動車ばかりだ。

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夜8時までかかってようやく山奥の宿に到着した。

疲れているのですぐにでも布団に入りたいところだが、カタツムリの類は基本的に夜行性である。重い体を起こして採集に向かうことにした。

 

カエルやよくわからない虫が大合唱している中、ヘッドライトを頼りに夜の山道をひたすら歩く。

 

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民家の塀、木の幹など、所かまわず張り付いているのがこのセトウチマイマイだ。名前の通り中四国の瀬戸内海近辺を中心に分布している。

今回の採集紀行でも至る所で目にすることとなった。

 

しばらくすると神社が見えてきた。夜中に神社の境内に入るのは不気味なことこの上ないが、神社林は広葉樹で形成されていることが多くカタツムリを採集するには適した環境なのだ。

 

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木の幹を照らすとこんな感じで貝が付着していた。そっと手を伸ばし掌中に収める。

ケショウマイマイだ!

 

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高い円錐形の螺塔が特徴的な、「化粧」の名に恥じない純白の美しい貝である。徳島県石灰岩地帯固有のカタツムリだ。

地面に堆積する腐葉土を熊手で掘り返すと地中性の貝も現れる。

 

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ジタロウマイマイ。殻にうろこ状の突起があり、殻口も変わった形をしているので分かりやすい。

四国のほかには淡路島にも分布している。

 

翌日に支障をきたすとまずいので、この日の採集はこの辺りでお開きにすることにした。

ここではアワマイマイ(後述)の殻も見つけたが、結局出会うことはできなかった。

日が変わるころに宿に戻り、泥のように眠りに落ちた。

 

 

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2日目。早々に支度を済ませ、山に繰り出す。

陸貝の採集は基本的に雨降りかその直後が望ましいのだが、この日はカンカン照りの快晴というこの上ない悪条件であった。

昔から天候にはすこぶる恵まれない体質だった……奄美に行った時も未曽有の台風で船が欠航し2日間延泊することになったものだ。

 

それはともかくとしてこんな晴れの日の昼にカタツムリが闊歩しているなんてことはあまりないので、奴らが潜んでいそうな障害物の陰を探したり、土を掘ったりして採集することになる。

「辛気臭い作業だ…」そんなことを考えているうちに奴は現れた。

 

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アワマイマイ。阿波の名を冠する貝にして日本最大のカタツムリである。

この貝を捕りたくて今回の旅先に徳島を選んだといっても過言ではない。
もっともこの個体は殻径30mm程度の小型個体だったが……大型の個体は60mmを超える。この個体は持ち帰って飼育中なので今後の成長に期待したい。

 

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アワマイマイや前述のセトウチマイマイの他にはコニホンマイマイやコベソマイマイなんかも採集できた。
広葉樹の葉の裏にはケショウマイマイも多かった。

なんとかそれなりの戦果を出せたかな、というところか。

 

この後は列車でアワマイマイの大型個体の記録のある山に向かい、さらなる成果を求めるも結局空振り。徳島市内のホテルに宿泊し、翌日実家のある京都に帰還した。

 

 

 

閲覧ありがとうございました。約1か月ぶりの更新になりますね。

この1か月……まぁいろいろあって再度休学することになったんですが、実りある成果もたくさんありました。(お世話になった方々ほんとうにありがとうございました)
ここでは引き続き今までのように採集記メインで適当に書いていこうと思います、よろしくお願いします。