なまずのねどこ

ちょっとオタク寄りな旅の記録。B級スポットとか県境とか駅とか魚捕りとか。常にどこかに出かけていたい負け組大学生。

名松線と伊勢本街道の旅 (名張→敷津→奥津→松阪)


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2ヶ月近く前の旅の話になってしまいますが、今回は三重県奈良県が舞台の記事です。

名松線未成区間にあたるルートをバスと徒歩で辿った時のお話です。時系列としては先日の北海道巡りの数日前になります。

 
名松線という路線名は名張松阪の頭文字からで、当初は奈良県の桜井から名張を経由して松阪に至る路線として計画されました。しかし、現存区間末端の家城〜伊勢奥津間が開業した1935年の時点で既に参宮急行電鉄(現在の近鉄大阪線にあたる路線)が桜井〜名張〜松阪間を結んでいたために、道半ばで建設意義が失われた形となり、伊勢奥津から先に延びることのないまま三重県内で完結するローカルな盲腸線として今に至ります。沿線人口は希薄で、その歴史の中で赤字83線への指定や台風災害による長期運休など幾度もの存続の危機を経ながらも、なんとか現在まで鉄路として生き永らえている苦労の多い路線でもあります。

 

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さて、今回は名松線の「名」の由来である名張からスタートです。

 


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鶴橋から近鉄大阪線の急行で名張駅まで1時間ほど。名張市の中心駅で特急も停車しますが、駅舎は割とこぢんまりしています。

 

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駅西口のバス停から「敷津」行きに乗車。三重交通のバスですが、終点付近のみ奈良県を走行します。

 

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バスは比奈知ダムを横目に見ながら山道を分け入っていきます。淀川の三大支流・木津川水系のダムで、名張市奈良市など流域の水瓶として機能しています。

 

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県境を歩いて跨ぎたいので、三重県区間最後のバス停、上太郎生(かみたろう)で下車。国道368号線沿いに数百m歩くと奈良県御杖村に差し掛かります。

 

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先ほどのバスの終点である敷津付近は国道が分岐する要衝で、道の駅御杖があります。

 

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食堂はまだ開いていない時間だったので、腹拵えに山芋の寿司を買いました。擬似的なとろろごはんです。

 

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名張から伊勢奥津までは奈良県を僅かに通過するこの経路が最短で、道の駅から2kmほど歩くと再度三重県に入ることになります。峠越えではなく一方的な下り坂で、かなりの勾配があるため鉄道敷設を奥津までで諦めたのは理に適っている気もします。

 

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県境にあたる橋の名は旧国名(大和と伊勢)に由来すると思われる「新勢和橋」となっていました。

 

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この辺りは伊勢本街道のルートにあたり、街道沿いに古めかしい街並みが残っています。今回歩いている区間にも石名原宿、奥津宿の2つの宿場があり、地域の観光資源となっているようです。

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奥津宿の街並み。

 

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三重県に差し掛かってから5km歩いて伊勢奥津駅に到着。

 

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無人駅ですが、すぐ隣に観光案内所があり、名松線のグッズなどが売られています。結構歩いてお腹も空いたので、お赤飯とアマゴの甘露煮を買って松阪行きの列車の中で食べました。買い物客が対象の名松線クリアファイルのプレゼントもあり、お得です。

 

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雲出川の渓谷美を車窓越しに眺めながら列車に揺られ、1時間半で松阪に到着。近鉄・JR共同使用の大きな駅なので、気動車1両の名松線の存在感はやや薄いです。ここから再び近鉄で名古屋方面へと旅を続けました。