アユの好漁場として有名な久慈川の支流を攻めていきます。
いくつか支流を見て回ったものの、殆どはご覧の有様で釣りにならず。3つ目の川でようやく入渓に至りました。
入渓地点は浅く、魚の隠れる場所も少なそうな小沢といった趣でしたが、
数百m遡ると、そこには渓畔林に覆われた素晴らしい渓相が広がっていました。増水具合もいい感じで、ミミズが効果を発揮しそうです。
数投目で早速小刻みなアタリがありましたが、魚が小さいようでなかなか乗りません。
私はどちらかというと開けた釣り場よりもこういう薄暗い源流に惹かれるので(根暗だからでしょうか)、惜しむように1つのポイントをネチネチと攻め、岸際まで張り出した木を手繰りながらゆっくりと遡行していきます。
そうこうしているうちに、可愛いイワナが掛かりました。
山吹色のお腹がチャーミング。分布域からしても正真正銘のニッコウイワナなのですが、頭部背面には斑紋が見られ、山陰のゴギを髣髴とさせる、小さくも美しい個体です。
写真の左奥の淵に仕掛けを飛ばすと、鋭いアタリが!
増水した川を縦横無尽に逃げ回る逞しい泳ぎを堪能し、ネットイン。
バットに横たえた魚は、刃の切っ先のように尖った各ヒレをピンと張り、鰓蓋は赤銅色の輝きを放っています。イワナの野生的な魅力を全身で訴えかけるような、そんな素晴らしい雄イワナでした。
淵をいくつも越えていくと、先程のような平たい渓相となり、ポイントが絞り辛くなってきました。
それでも、ミミズを流れに馴染ませると、目印が上流に向けて勢いよく逆走を始めました。
抜き上げると、パーマークが小さく控えめな、大人しい印象のヤマメでした。体色は若干茶色みを帯び、秋の装いを始めています。
北関東3県のヤマメをコンプリートするという目的が達成できたので、ここで納竿することとします。
退渓間際の林床で、小さな秋を見つけました。
奥久慈の豊かな森と、美しい渓魚たち。関東にもまだまだ素晴らしい環境が残っていると実感できた、良い休日でした。
帰還後、川魚5種のバター焼きに舌鼓。
焦げないよう、バターは焼き上がる数分前に入れるのがコツです。
ご馳走様でした。