なまずのねどこ

ちょっとオタク寄りな旅の記録。B級スポットとか県境とか駅とか魚捕りとか。常にどこかに出かけていたい負け組大学生。

鹿児島県最北端の島・獅子島を巡る

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八代海の一角、天草下島の南東方に浮かぶ獅子島。肥薩両県に跨がる天草諸島の中でも、鹿児島県側に属する有人島はそのほとんどが長島や九州本土と架橋されていますが、この獅子島は架橋で本土と繋がっていない純粋な離島となっています。

島へは天草下島や諸浦島(長島の属島)からのカーフェリーのほか、水俣港からの旅客船も利用できます。

 

獅子島の説明はそこそこに本題へ。先月友人と南九州を巡った際に獅子島に立ち寄った時のお話です。

 


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九州本土から獅子島行きフェリーの出る諸浦島までの道中では、2つの海峡を渡ります。本土と長島との間の黒之瀬戸海峡が日本三大急潮の一つに数えられる壮大な海峡である一方、長島と諸浦島の間は幅ほんの数十mの海峡によって隔てられているのみで、ここからが諸浦島だと示す標識などもないかなり呆気ないものでした。

 

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展望台などちょこちょこ寄り道しながら諸浦港に到着。ここから天草下島の中田港までカーフェリーが結んでおり、その一部の便が獅子島の片側(かたそば)港に寄港するという形になっています。

こぢんまりした港ながら、天草と鹿児島を短絡する重要なルートの一端でもあります。連休ということもあり、出航前には乗船券を購入する人々で賑わっていました。

 


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いざ乗船。八代海の穏やかな潮風を感じながら、束の間の船旅です。

 


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20分ほどで片側港に到着。獅子島は同じ天草諸島御所浦島とともに化石の島として知られ、港の正面では首長竜とアンモナイトのモニュメントがお出迎え。

 

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片側は郵便局もある獅子島の中心集落。島の人口は600人程度といいますが、これを多いとするか少ないとするかは捉え方次第でしょう。個人的には意外と健闘している島という印象を持ちました。なんせトカラ列島の総人口(400人足らず)よりも多いのです。

 

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ここからは島を時計回りに一周してみます。典型的なリアス式海岸の島のため、集落を離れるとぐねぐねの山道が続きますが、路面は全体的によく整備されています。

 

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岬の先端まで木製のチップが敷かれた遊歩道が続くインスタ映えスポット。天草下島の山々を間近に望みます。

 


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島の最北端の地点にほど近い船溜まり。案内などは何もありませんが、ここが陸地から到達できる実質的な鹿児島県最北端になると思われます。車1台通るのがやっとな悪路にもかかわらず、突き当たりの手前までストリートビューで辿ることができます。文明だなぁ。

 

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こちらは獅子島のもう一つの玄関口、幣串(へぐし)港。水俣からの旅客船が発着しています。

 

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高台から俯瞰した片側集落。右奥の大きな建物は獅子島小中学校です。

 

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港に戻ってお土産を買い、次の天草方面行きの船便で島を後にしました。

急いで回ったので、ちょっと物足りない感は否めませんね……機会があれば改めて訪れたいです。

 

カワハギ求めて筏釣り@大隅半島・海潟

錦江湾大隅半島側、垂水市海潟で筏釣りをしてきました。

鹿児島市街の鴨池港から自転車で始発フェリーに乗り、45分で垂水港に着岸。そこから北へ20分ほど漕いで海潟漁港に到着です。

 


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渡船は「フィッシング富士丸」さん。海潟集落の沖に浮かぶ無人島・江之島を横目に見ながら進み、5分ほどで筏に到着。

胴突仕掛けで大好物のカワハギを狙いながら魚種稼ぎをし、あわよくば釣れたアジなんかを泳がせて青物のワンチャンをも作ろうという目論見です。

 

1投目で小気味良いアタリ。

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ワッペンサイズのカワハギちゃんが釣れてくれました。肝パンの大物への期待を込めてリリース。

水深が30mほどあるので、電動リールがあった方が便利かもしれません。常連さんと思しき相席のおっちゃんは電動だったので、筏では割と標準装備なのかな?船釣りみたいなもんやもんね。

 

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紅白の縞を纏った美しいこの魚はタマガシラ。錦江湾には多いらしいと聞きますが、岸からはあまり釣れない魚です。

イトヨリダイの仲間なので不味くはなかろう、ということでお持ち帰り。どうなることやら。

 

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そこそこのサイズのウマヅラハギ。地元の関西では釣り魚として結構ポピュラーな存在ですが、鹿児島で出会う機会は少なく、地味に初釣魚です。ただ今回は3匹釣れたのでまぐれというわけでも無さそうで、いる場所にはちゃんといるのでしょう。カワハギと比べて高水温に弱いという話も聞きました。

 

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チャリコも普通にいます。アジがかかるまで泳がせの餌になってもらいましょう。

 


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ヒメジとトラギス。地形が険しいエリアなので少し意外でしたが、この子達がいるということは底は砂地が主なんでしょうね。根掛かりもしませんし。

 


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カゴカキダイとハタタテダイ。

岸からの五目釣りでもよく見る面々です。

 

この後オオモンハタの子供とマアジも釣れ、無事10目釣りを達成。

泳がせはてんでダメでした。同じ筏の天秤仕掛けのおっちゃんズはバリ(アイゴ)を上げたのみ。

お初の魚との出会いも果たせたので個人的には満足です。カワハギ×4、ウマヅラハギ×3、タマガシラ×2をお持ち帰りしました。

 


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筏釣りを楽しんだあとは海潟温泉の共同浴場、江之島温泉でひとっ風呂。地元で愛される昔ながらの公衆浴場といった趣きもさることながら、湯の花と硫黄の香り漂う良いお湯で汗を流す時間はまさに至福の一言でした。

"100%絶景の島" 甑島列島を旅する 3日目

前回の続き。甑島最終日です。

 

島で行きたいところも一通り行き尽くしたので、この日は日の出後からホテルのチェックアウトまで里港の堤防で釣り。

 

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前日よりちょっと大き目のタカサゴが釣れました。2匹が同じポイントのほぼ同じタナで釣れたので、偶発的に釣れたというよりは居着いている可能性が高いと思われます。

それにしても、ほんと綺麗な魚ですよね。

小さめのイスズミやアジも釣れましたが、画像はなし…

 


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カワハギ仕掛けを使った小物狙いの胴突きの方も、画像のマツバスズメダイやハタタテダイに、ニシキベラ、オトメベラ、クマノミスズメダイオヤビッチャ、クロホシイシモチ、オオスジイシモチ……と、10目釣りを達成する勢いでした。

九州沿岸ではおなじみの餌取り、ナガサキスズメダイの猛攻も健在です。

9時ごろに切り上げ、チェックアウト前にひとっ風呂浴びてからレンタカーを返却しに行きました。

 


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その後、キープしたタカサゴを船の出発までホテルで冷凍してもらったり、港周辺をぶらぶら散策したりして時間を潰しつつ、12時台の船便で里港に別れを告げます。ありがとう甑島

(ちなみに持ち帰ったタカサゴは唐揚げになりました。はらわたと鱗だけ取り、背鰭の両側に包丁を入れてカリカリに揚げれば、骨までザクザクいける沖縄名物ぐるくんの唐揚げが再現できるぞ!タカサゴが手に入ったら試してみよう!)

 

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里港12時50分発の串木野新港行きフェリーは、下甑島の鹿島・長浜を経由(つまり甑島列島東岸を海伝いに縦断)してから串木野に向かうかなりの遠回り経路のため、終点まで3時間以上を要します。鹿島港までの船窓では、一昨日・昨日と渡ってきた甑大橋を真横から望めました。

串木野までのほぼ全区間で電波も入るようなので、ネットするもよし、景色見るもよし、滞在中の思い出に浸るもよし。

 

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おおむね定刻の16時20分ごろに串木野新港に到着。ここからは串木野駅川内駅への連絡バスがあります。

船旅の風情に名残惜しさを覚えつつ、串木野からJR経由で家路につきました。

おしまい。

"100%絶景の島" 甑島列島を旅する 2日目

前回の続きです。

この日は主に採集・釣りパートです。未明3時頃に起床。

甑島固有の陸貝を求めて夜の林道を徘徊しますが、快晴続きだったこともあり思ったような成果が出ません。

 


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それでも、草叢や東屋の軒下などのルッキングを中心に探していくと、コシキジマギセルやヒゼンオトメマイマイなどが採集できました。

 

夜明け前に貝探しを一旦切り上げ、釣りに移ります。

ハタでも釣れればいいなと思っていたブッコミ仕掛けには、

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開始十数分でウツボがヒット。あまり釣り人に喜ばれる方の魚ではありませんが、地味に初めて釣る魚なので僕としては歓迎です。獰悪そうな顔つきがたまりませんしね。

日の出を挟んで3匹釣れました。

 

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こちらはワカウツボウツボとは異なり目が赤く、模様も斑点のようなものでウツボのような樹枝状の縞模様はありません。

 

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朝方の長浜港。串木野へ向かうフェリーニューこしきが停泊しています。

 

日が昇ってからは再び陸貝採集に戻ります。

 

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山道の脇の落ち葉の堆積した場所で、目的の下甑島固有種・ナタマメギセルを見つけることができました。面白い形の貝でしょ?

ナタマメギセルは島内の生息域により、遺伝的に差がある3つのタイプに分けられるようです。この個体は「南部大型」の個体群にあたります。

平べったく渦を巻いたカタツムリが映っていますが、こちらは甑の名がついたコシキコウベマイマイです。

 


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アズマギセル。キセルガイに詳しい知り合いによると、殻口にシワがあるのが特徴らしいです。キセルガイの同定は本当にわからん…

 

個性豊かなカタツムリたちとの出会いとの後、昨日行きそびれていた観光スポットを巡ることにしました。

 

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下甑島の西側、前の平展望所とナポレオン岩。ナポレオンの横顔に似ていることから名付けられたらしいですが、ちょっと無理があるような…何はともあれ海面から突き出す奇岩の数々は壮観ではあります。道路状況が悪いので、東海岸沿いに走る幹線道路からはかなり時間がかかります。

 

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北側にナポレオン岩を望む西山集落。県道から険しい山道を10km以上も進んだ先の行き止まりという立地もあり、島の果てらしい趣きがあります。

 

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そこから上甑島に戻り、15時頃と少し早めではありましたがこの日の宿である里港のホテルエリアワン甑島にチェックイン。

見事なオーシャンビューの和室で素泊まり6700円。これでレンタカーの5000円引きがつくわけですし、本当にお得でした。

 

買い出し後、里港で日没まで釣り。以下釣果の数々です。

 

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30cm弱のマダイに、恒例のイスズミ。

引きは面白いのですが、針を外そうとするやいなやウ○コを撒き散らす曲者。心なしか甑島のイスズミはお尻の緩い個体が多い気がしました。やめてくれ。

 


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小物系でめぼしいものはクマノミやマツバスズメダイなど。マツバスズメダイは初の獲物ですが、甑島には多いようで合計4匹釣れました。

 

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そして沖縄の県魚・グルクン (タカサゴ) 。まさか甑島で出会うことになるとは予想外でした。嬉しい誤算です。

釣り上げた瞬間に暴れて仕掛けから外れ、真っ赤になってしまいました。

荷物も多いので、タカサゴだけ下処理をしてキープし他は全てリリース。

 

他にはハタ狙いの仕掛けにまたウツボがかかったりしていましたが、肝心のハタはゲットならず。

宿に戻って寛ぎ、ぐっすり眠って疲れを取りました。

次回に続きます。

"100%絶景の島" 甑島列島を旅する 1日目

先日東シナ海上の離島・甑島(こしきしま)列島に行った時のお話です。上甑島・中甑島・下甑島の3つの有人島を擁する島々で、現在は全域が合併により薩摩川内市域となっています。昨年夏に中甑島と下甑島を結ぶ甑大橋(鹿児島県内最長!)が開通して車での3島縦断が可能となって以来、是非行ってその絶景を堪能したいと考えていました。

甑島へのアクセスは

・川内港からの高速船

串木野新港からのカーフェリー

の2通りです。1日に各2往復が運航されています。

 


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早起きして鹿児島市内の自宅を出発し、川内駅を8時丁度に出発する高速船ターミナル行きのシャトルバスに乗車。川内駅のある薩摩川内市街がかなり内陸寄りに位置しているため、港までは30分ほどバスに揺られることになります。

九州新幹線停車駅なので、博多からのアクセスも可能です。

 


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川内港高速船ターミナルに到着。周りに何もない場所なので、飲み物や朝食などは予め買っておいた方がいいかも。

中で乗船券を購入し、いざ出航!

 


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デッキからの眺めと、船内の様子。川内港から上甑島の玄関口・里港まで50分の船旅です。

 

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島が近づいてきたので船窓に目をやると、この海の青さ。補正なしでこの色ですよ!透明度がえげつないです。

 

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港からの景色もこの通り。下船口でレンタカー店の方が出迎えて下さっていたので、ささっと手続きを済ませます。

かごしま楽巡りキャンペーンの一環で、島内で宿泊するとレンタカー代金が5000円引きになるとのこと。車での島旅にこれ以上ない耳寄り情報でした。

 


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里港周辺の道沿いには丸い石で築かれた石垣が広がり、沖縄や奄美の集落のような南国情緒と城下町の厳粛な雰囲気が同居した不思議な空間でした。武家屋敷の流れを汲んだ歴史ある街並みそのものが観光名所と言えそうです。

 

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上甑島の北端に近い市の浦海岸。キャンプに良さそうです。

 

ところで、里は陸繋砂州(トンボロ)の町としても知られます。沿岸流によって形成された砂州が陸地と陸地を繋いだ特徴的な地形で、有名どころでは函館(北海道)や串本(和歌山県)の市街地もこのトンボロ上に立地しています。里もまた海岸地形の例として教科書に載るほど典型的なトンボロで、地理オタク的にはかなり唆るものがあるのです。

 


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そのように里町のアイデンティティともいえる地形であるため、集落の端々でトンボロの文言が見られ、トンボロカレーなる名物が港の食堂で提供されていたりします。そんなもの食べたくなるに決まっていますが、今回はコロナの関係で食堂は閉鎖中…南無三!

 

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…トンボロの解説はそこそこにして、島巡りに戻ります。こちらは先ほどの市の浦海岸と里町中心部との道中で眺めることのできる、里トンボロ西側の防風林。防風林があるということはそれなりに風が強く吹き付ける立地であることが予想されます。甑島列島の西側は東シナ海の外洋に面し、偏西風を遮るものがないために海峡の狭窄部で強い波風により砂の堆積が促され、現在の里トンボロが形成されたということなのでしょう。

 


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この里トンボロの全景を眺められる場所を求めて上甑島最高峰・遠目木山への登山を決行。とはいっても標高は423mで4合目ほどに車を止められるスペースもあり、登山道も整備されているため、1時間程度で往復が可能です。

 


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そしてこれが山頂からの風景。思わず溜め息を超えて訳のわからない叫び声が出てしまいました。

 


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甑島を代表する景勝地である長目の浜の砂州や、中甑島へ繋がる橋までもがしっかり見えてしまうので、上甑島よくばりセットというほかありません。

 

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満足して麓に降り、長目の浜へ。先ほど上から見てきたばかりなのでインパクトは薄いですが、天橋立を髣髴とさせる美しい風景です。

下甑島を目指し、さらに車を南へ走らせます。

 


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中甑島への入り口にあたる甑大明神。断崖絶壁に鳥居が立つ独特な風景を橋の上から堪能できます。この断崖が甑(こしき。調理器具であるせいろの一種)に似ていることが甑島の由来になった(※諸説あり)とも言われています。

 


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開通して1年が経つ甑大橋を眺望できるスポットもあります。左が中甑島側の木の口展望所、右が下甑島側の鳥の巣山展望所からの眺めです。


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下甑島の鹿島断崖。遊歩道沿いにはカノコユリが咲き乱れます。見頃は例年8月頃までのようで、滑り込みでなんとかこの絶景を堪能できました。

 

余談ですが、下甑島に入ると道路状況が急激に悪くなる区間が出てきます。甑大橋周辺のような近年になって整備された区間は線形も良好で快適にドライブができますが、鹿島地区以南の県道349号線には甑島列島を南北に貫く幹線道路と思えないような狭隘な山道も多く、注意が必要です。

 


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上甑島の里と同様、フェリーと高速船が発着する下甑島最大の港・長浜港。ここで甑島3島の離島カードをコンプリートしました。

 


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下甑島最南端に近い手打集落に到着する頃には既に17時を回っていました。こちらも里と似た石垣の街並みが広がっています。

 

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下甑島のライフラインとなっているスーパー「フレッシュポート エグチ」。食料品や日用品に加え、生イキくんや撒き餌用アミエビなど簡易な釣り餌類も扱っているため便利です。翌日に釣りをするつもりだったため少し購入。

離島の小規模なスーパーにもかかわらずキャッシュレス決済の類は一通り使えたりと、結構頑張っているお店でした。

 


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日没まで少し時間があったので、手打港で小物狙いの胴突釣りに興じることとしましたが、本命のポイントが工事中で入ることができず成果は今ひとつ。イスズミの大群が相手をしてくれました。写真はテンジクスズメダイとノトイスズミ。

 

寝不足だったこともあり、日没後は翌日の行動に備えて車中で仮眠をとることとしました。

次回に続きます。

夏の道央周遊記2021 Part3 札幌→三笠→新十津川→千歳

前回の続きです。

 


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札幌から朝一で向かったのは三笠市のJR幌内線・萱野駅跡。前回も立ち寄ったのですが、その際は積雪のため足を踏み入れることすら困難な状態でした。幌内線岩見沢から分岐していた二股の線で、北海道で最初に敷設された鉄道の一部区間でもあります。幌内炭鉱からの石炭の輸送を通じて沿線の発展に貢献しましたが、エネルギー転換と過疎化の波には勝てず、民営化後間もなく廃止となっています。

 

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駅舎は廃止当時の姿を残したまま、ライダーハウスとして再利用されています。施錠されているため、駅跡を管理されている近隣の民家で鍵をお借りして見学しました。

 

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同じ三笠市三笠鉄道村。かなり山の方に入った立地ながら立派な博物館があるほか、廃線跡を活用したトロッコの運行が行われています。

 

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展示内容は幌内線のみならず道内各地の鉄道の歴史や廃線について多岐にわたり、壁一面に並ぶ縦型駅名標の数々は圧巻です。

 

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クロフォード公園。鉄道村の三笠市街地側にある公園で、北海道に鉄道技術をもたらしたアメリカ人技師の名から取られています。三笠駅(幌内太駅)のあった場所にあたり、旧駅舎は売店として活用されています。

 

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炭鉱町の例に漏れず、市街地の衰退が著しいです。老朽化した建物が目立ち、人口も1万人を割っています。札幌圏から近く、道央道のICがあるなど、交通の便が比較的良いことはせめてもの救いといえるでしょうか。

化石の産地としても知られ、アンモナイトのオブジェが所々にありました。

 

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国道をさらに北上して上砂川町へ。

こちらも前回冬季休館中で入れなかった上砂川駅跡の再訪が目的です。

独立した路線ではなく函館本線の支線として扱われていたため、廃止対象路線の選考から漏れ、隣接する歌志内線よりも生き永らえたという経緯があります。そのため、駅名標国鉄時代からのものではなくJR北海道仕様となっています。

 

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道中でお昼を食べつつ、石狩川を渡って新十津川町へ向かいました。ここでは開拓記念館を訪問。新十津川という町名は、1889年の水害で生活基盤を失った奈良県十津川村の住人たちによって拓かれたことに因むもので、館内の展示でも彼ら開拓民の暮らしを体感することができます。

 

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昨春に部分廃線となった札沼線に関する展示も、少な目ながらしっかりありました。上徳富、中徳富はいずれも新十津川町内に所在していた駅です。

 

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その後、いくつかの札沼線の廃駅を見て回りました。写真は浦臼町於札内駅。駅待合室に貼られた古い駅名標が残されています。レールはまだ撤去されていませんが、これから工事が行われるところなのか、かつてのホームも含めて立入禁止となっていました。


栗山経由で千歳へ戻り、今回の行程は終了。翌日からは本来の目的である就活関連の予定に追われることとなるのでした…

 

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夏の道央周遊記2021 Part2 真狩→岩内→積丹→札幌

前回の続きです。

 


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翌朝、真狩を出て隣町の京極へ。湧水の町として知られ、羊蹄山麓の湧水地を公園化したふきだし公園なるスポットがあります。セコマの2リットル水も京極の名水ですし、さしずめ関西人にとっての「六甲のおいしい水」のようなポジションなのでしょう。

 

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ふきだし公園から尻別川を渡った京極町市街地の湧学館。町立の図書館と郷土資料室を併設した施設です。公式サイトでは開館は9時となっていましたが、その辺りはアバウトなのか8時半ごろでも入館させていただけました。

 


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展示コーナーは1階と2階に分かれ、「農業」「教育」「駅」などカテゴリごとに小綺麗に整頓されている様子はさながら博物館です。廃線関連では町内を走っていた国鉄胆振線にまつわる品々が展示されています。

 


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お次は共和町の小沢駅を訪問。かつてはニシン漁で栄えた港町・岩内への国鉄岩内線の分岐駅であり、ホーム跡が残されています。

 


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木造の跨線橋や乗り場案内の字体 (「凾」に注目。「倶」も独特な字形ですね) など、全体的に歴史を感じさせる造りの駅です。

 


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同じ共和町内の幌似駅跡は鉄道公園として整備され、駅舎や線路、客車などが残されています。役場などへはこちらの方が近く、山あいの小沢より栄えているため、町の中心駅としての立ち位置だったと思われます。

 


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こちらは岩内町の郷土館。港町だけに、漁業に関する展示が主体でかなりの物量があります。国鉄岩内線の遺品はさほど多くはないものの、ヘッドマークなどが収蔵庫に保管されていました。

 

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現在の函館本線(山線)のルート選定にあたって、当初は黒松内から日本海側に出て岩内を通るルートも候補として想定されていたようですが、1896年に設立された函樽鉄道の計画では内陸の蘭越倶知安を経由して敷設されることとなっており、岩内の人々は大層落胆したといいます。その後小沢駅から分岐する形で岩内線が開業することとなりますが、モータリゼーションの進行に加えて沿線の漁業や鉱業の衰退も収益の低下に追い討ちをかけ、1985年に廃止されて現在に至っています。

 

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岩内からは真っ直ぐ小樽方面へ向かわず、積丹方面へ北上。途中で通過する泊村・神恵内村古宇郡という聞き慣れない郡名です。古くはこの辺りを指す広域地名としてフルウと呼称したようで、神恵内村中心部を流れる川の名も古宇川となっています。

 

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断崖絶壁を貫いたトンネルで僅かな平地を縫って走るような道が続きます。

 

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岩内から1時間足らずで積丹半島随一の景勝地神威岬に到着。平日でしかも霧雨がぱらつく微妙な天気にもかかわらず、観光客でそこそこ賑わっていました。

 

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岬の先端部の神威岬灯台へは、駐車場から1kmほど遊歩道を歩く必要があります。足場がしっかりしているので安全で歩きやすい道なのですが、視界を遮る物が全くないためそれなりにスリリングな気分を味わえます。

 

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道中ではヒメマイマイがそこかしこに見られました。

 


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続いて半島の北端、積丹岬へ。積丹岬灯台や日本の渚百選の島武意海岸があります。神威岬ほど長い距離を歩かされるわけではないですが、勾配が大きいので焦らず休み休み行きましょう。

 


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積丹岬周辺一帯の地名は「入舸(いりか)」。ダムが有名な美利河(ぴりか)などの似通った地名があるのでアイヌ語の音写だろうと思い込んでいたのですが、どうやら実際は和語地名で、岬南側の奥まった入江の地形が船溜まりとして利用されたことによるもののようです (舸=ふね、おおぶね) 。


雨足も強まり始めていたので、そのまま札幌まで移動してこの日はお開きとしました。

 

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次回へ続きます。